ディープ&キンカメ「2強時代」に終止符か!? 社台ファーム吉田氏が明言「海外の優秀牝馬を配合する」第3の大物とは!?
「スクリーンヒーロー産駒はもともと、2歳の新馬戦シーズンに間に合う仕上がりの早さが売りでしたが、モーリスとゴールドアクターが古馬になって開花したことで、成長力のあるところも証明されました。産駒が短距離、長距離で活躍していることも大きいですね。生産者たちの評判はうなぎのぼりで、初年度の種付け料は30万円(受胎確認後支払い)とリーズナブルでしたが、今は10倍以上に跳ね上がっています」
その地味な印象とは裏腹に、スクリーンヒーローの母系は、かなりの名門である。母ランニングヒロイン(父サンデーサイレンス)は未勝利のまま引退したが、祖母にあたるダイナアクトレス(父ノーザンテースト)は2歳時に重賞ウィナーとなる仕上がりの早さを見せただけでなく、成長力を発揮して5歳秋まで息の長い活躍をした。オークス3着、ジャパンカップ3着、安田記念2着、スプリンターズステークス(当時はG2)1着、毎日王冠1着など、距離も問わなかった。モーリスとゴールドアクターの活躍は、まるでこの血が騒いでいるかのようである。
さらに3代母(曾祖母)のモデルスポートも、最優秀3歳牝馬(当時は4歳表記)に輝くなどした名牝。そして4代母マジックゴディスは、社台グループの創業者である故・吉田善哉氏がイギリスのセレクトセールで購入した馬だ。
スクリーンヒーローという馬は、日本最大の競走馬生産グループ、社台グループの繁栄の歴史が凝縮された馬なのだという見方もできる。同馬には社台グループが保有していた、歴史的大種牡馬、ノーザンテースト、サンデーサイレンスの血も入っている。
前出の牧場関係者が続ける。
「モーリスの母父はカーネギー、ゴールドアクターの母父はキョウワアリシバ。ともに地味な母系ですが、どんな母系からも活躍馬を出せるのは大種牡馬の条件でもあり、かつてのノーザンテースト、サンデーサイレンスもそうでした。現在の社台ファーム代表、吉田照哉さんは、『10年後にはスクリーンヒーロー系を築き上げるのではないか』と言っているほどです」
吉田氏の発言はリップサービスではなさそうだ。『種牡馬最強データ’16~’17』(KADOKAWA/エンターブレイン)の巻頭インタビューで同氏は、今春は海外から連れてきた良質な牝馬を配合することを明言している。「ディープインパクト級の繁殖牝馬を揃えても良いのでは、とも考えています」とまで言っており、本当にそうなれば、ディープ、キンカメの2強時代は終わりを告げることになるかもしれない。
スクリーンヒーローは当初の繁殖牝馬の質が低かっただけに、年々その質が高くなっていくことは確実な状況だ。すでに初年度のモーリスとゴールドアクターが種牡馬入りが確実な状況だけに、”スクリーンヒーロー系”の出現は決して夢物語ではない。
そしてこのスクリーンヒーロー産駒の活躍に伴い、注目度を高める馬がもう一頭いる。スクリーンヒーローの父、グラスワンダーだ。