「強奪屋」戸崎圭太は何故ルージュバックだけ乗り続けるのか「エージェント制度の寵児」と謳われる3年連続リーディング騎手の「責任」と「信念」
戸崎圭太騎手程「お手馬がいない」といわれるトップジョッキーも珍しい。
JRA騎手になってまだ3年目のM.デムーロ騎手やC.ルメール騎手にしても、早くもドゥラメンテやサトノダイヤモンドという名コンビを結成、苦楽を共にしている。特にルメール騎手はJRA騎手になったメリットとして「デビューからずっと1頭の馬に乗り続けられるのは素晴らしい」と、日本でお手馬ができることを心待ちにしていた1人だ。
騎手にとって、1頭の馬に乗り続けられるのは、負けても簡単には乗り替わりを告げられない「実力の証」ともいえる。
ミスターシービーと吉永正人、シンボリルドルフと岡部幸雄、ナリタブライアンと南井克巳、ディープインパクトと武豊、オルフェーヴルと池添謙一。1人の騎手と1頭の馬が織りなすコンビは、その時代の象徴する「競馬の華」といえる。
だが、その一方で今は複数人が馬主となるため結果がより重要視されるクラブ馬主が増加し、騎乗依頼も騎手本人ではなくエージェントが捌く時代。今年の皐月賞を勝った松山弘平騎手でさえ一時はダービーでの騎乗が危ぶまれ、2着のペルシアンナイトはあっさりとデムーロ騎手に捨てられた格好だ。
そして、そんなペルシアンナイトに騎乗する戸崎騎手。皐月賞では四位洋文騎手がスワーヴリチャードを選んだためにサトノアレスに騎乗し、サトノアレスがダービーを回避したことで今度はデムーロ騎手が選ばなかったペルシアンナイトに騎乗する。
その都度、有力馬の騎乗が回ってくるのもある意味「実力の証」といえるし、実際に戸崎騎手は3年連続のリーディング騎手。まるで「エージェント制度」が跋扈するこの時代に現れるべくして現れた”寵児”のようだ。