大阪杯「23連敗」の鬼門を超えられるか…スターズオンアース、ヒシイグアスを阻む壁
26日に中京競馬場で行われた高松宮記念(G1)。春のスプリント王決定戦はJRAにおける上半期G1戦線の開幕戦としてもお馴染みとなっており、ここから4月16日の皐月賞(G1)まで4週連続でG1レースが開催される。
昨年も3連単の払戻が278万4560円という大荒れの開幕となったが、今年も12番人気のファストフォースの勝利という波乱のスタート。嵐の予感も漂う中で、今週末に阪神競馬場で行われるのが、大阪杯(G1)だ。
かつては「産経大阪杯」の名で、6月の宝塚記念(G1)に向けた前哨戦として重視されてきたG2のレースだった。2017年からG1へと昇格し、初年度はキタサンブラックが優勝した。以降もスワーヴリチャードにアルアイン、ラッキーライラックといった名馬たちの名前が優勝馬の欄に刻まれている。
近年は日本馬による海外挑戦が増えたこともあり、3月末にはドバイワールドカップデーが、4月末には香港の国際G1デーがある“谷間”の日程とあって、参戦するメンバーの弱体化を懸念する声も出始めた。
それでも、今年は昨年の二冠牝馬・スターズオンアースに、エリザベス女王杯(G1)を制しているジェラルディーナに加え、ここで初のG1タイトル獲得を目指すヒシイグアスやジャックドール、ヴェルトライゼンデといった牡馬の強豪も参戦を表明。遅れてきた大器として注目されたプログノーシスの回避は残念だが、十分に好メンバーと言えるだろう。
そんな大阪杯を予想していく上で、欠かすことができない要素が“東西の格差”である。
G1に昇格して以降の勝ち馬を挙げてみると一目瞭然なのだが、実は6頭すべてが関西馬だった。
・2017年:キタサンブラック(栗東・清水久詞厩舎)
・2018年:スワーヴリチャード(栗東・庄野靖志厩舎)
・2019年:アルアイン(栗東・池江泰寿厩舎)
・2020年:ラッキーライラック(栗東・松永幹夫厩舎)
・2021年:レイパパレ(栗東・高野友和厩舎)
・2022年:ポタジェ(栗東・友道康夫厩舎)
「23連敗」の鬼門を超えられるか…
そこで2017年以降の大阪杯における関東馬の成績を調べてみると、【0-0-1-21/22】で勝ち馬はおろか連対した馬も皆無。複勝率も4.5%という壊滅的な数字が浮かび上がってきた。
一方で関東馬に有力な存在がいなかったわけではなく、昨年は前年の年度代表馬に輝いたエフフォーリアが単勝1.5倍の支持を集めながら9着に敗れたことは記憶に新しい。
一昨年も2番人気に支持されたグランアレグリアが4着に敗れ、3番人気のサリオスも5着止まり。これまでの歴史の中で唯一馬券内に食い込んだ2020年のダノンキングリーも1番人気での3着であり、ファンの期待に応えることはできていない。
さらに言えば、G2時代も勝ち馬の調教師の欄には“栗東”の文字がズラリと並び、関東馬の勝利は1999年のサイレントハンターまで遡らなければならない。なんと関東馬はこのレースで「23連敗中」という悲惨な状況となっているのだ。
G1昇格後初どころか、21世紀初となる関東馬の勝利が今年こそ見られるか。戦前の段階ではかなりオッズも割れそうな見立てとなっているが、中でも人気を集めそうなスターズオンアースとヒシイグアスの2頭は美浦所属の関東馬である。
約四半世紀もの間続いているこの嫌な流れに終止符が打たれるだろうか。注目される2頭をはじめ、出走してくる関東馬たちの奮起は大きな注目ポイントとなりそうだ。