リバティアイランド「距離不安は払拭された」前向きコメントも……オークス(G1)で待ち受ける数多のハードル

リバティアイランド 撮影:Ruriko.I

 9日に阪神競馬場で行われた桜花賞(G1)をまさに異次元の末脚で差し切ったリバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)。牡馬に絶対的な存在がいない世代だけに、日本ダービー(G1)への出走を期待するファンも少なくないが、どうやら順当にオークス(G1)が次の目標となりそうだ。

 同馬を所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表もレース後に行われた『スポーツニッポン』の取材に対し、「オークスかなと思います」と明言。昨年のスターズオンアースに続く、史上17頭目の牝馬クラシック二冠、さらにデアリングタクト以来となる史上7頭目の牝馬三冠を狙いに行く公算が大きくなった。

 桜花賞の勝ちっぷりを見た吉田代表は「ハープスターみたい」と、同じく川田将雅騎手を背に桜花賞を制し、3歳秋には凱旋門賞(仏G1)にも挑戦した名牝の名前を挙げると、「これで距離の不安は払拭されましたね」とコメント。その言葉からも二冠達成の可能性はかなり高いといえるだろう。

 ただし、順風満帆に見えるリバティアイランドだが、全てが追い風というわけでもない。

 その理由が現在全国リーディング首位を独走する中内田厩舎にあるという。

オークス(G1)で待ち受ける数多のハードル

「初めてクラシックの壁を破った中内田厩舎ですが、先週の桜花賞を含めたG1・6勝全てを阪神マイルコースで挙げているんです。つまり厩舎にとっては十八番といえるコースでの勝利でした。

一方、オークスが行われる東京コースでのG1は通算22戦0勝。この傾向はG1に限らず、長距離輸送が必要な関東圏では全体的に成績は落ちます。

負けて強しの内容だったとはいえ、リバティアイランドが唯一後塵を拝したのも東京開催のアルテミスS(G3)でしたからね。1度コースを経験している強みはありますが、やはり地元関西圏と同じようにはいかないでしょう」(競馬誌ライター)

 厩舎が抱えるもう一つの不安、それがローテーションだ。

「中内田厩舎といえば、休み明けでもしっかり仕上げてくるため、叩き2戦目で成績を落とす傾向があります。特に桜花賞では直線一気のやや負担のかかる乗り方にも見えただけに、その反動は少なからずあるでしょう」(同)

 また、「不安が払拭された」という陣営の言葉はあるものの、2400mという距離が未知数という事実も変わらない。桜花賞で「クラシックの壁」を突き破った中内田厩舎だが、実は重賞では「距離の壁」というものも存在する。

「桜花賞を勝ってJRAで通算33個目の重賞タイトルを獲得した中内田厩舎ですが、そのすべてを2000m以下で挙げています。2000mを超える重賞は17戦全敗という成績が残っています」(同)

 そして、鞍上の川田騎手もまた、長い距離のレースではパフォーマンスを落とす傾向にある。短中距離に比べて3000m以上の長距離を苦手にしている印象もあるが、実は2400mの距離で行われるG1成績も通算36戦2勝(勝率5.6%)と振るわない。

 1~2番人気の馬に11回騎乗しているが、勝利どころか2着が1回あるだけ。人気馬ではことごとく期待を裏切っているのだ。ただし、2400mのG1で挙げた2勝は、ジェンティルドンナの12年オークスとマカヒキの16年ダービーという大舞台だったので、この点は杞憂に終わるかもしれない。

 いずれにしても、オークスでリバティアイランドが越えなければならないハードルは決して少なくない。距離、輸送、ローテーション――。オークスでそのすべてをクリアできれば、牝馬三冠は手中に収めたも同然だろう。

GJ 編集部

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