【マイラーズC(G2)展望】菊花賞(G1)1番人気ガイアフォースが1600m初挑戦! “新装”京都競馬場の開幕重賞は伝統のマイル戦!
2年半に及ぶ改修工事を終えて、いよいよ京都競馬場がグランドオープンする。新装2日目の23日に行われるのは、伝統のマイル重賞マイラーズC(G2)だ。
安田記念(G1)の重要なステップレースとしての役割も担うレースで主役を務めるのは、メンバー中、唯一のG1馬でもあるシュネルマイスター(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)になるだろう。
デビュー当初から父キングマン譲りのスピードを如何なく発揮し、4戦目でNHKマイルC(G1)を制覇。続く安田記念では古馬相手に3着と大健闘した。
さらに毎日王冠(G2)では、その年の春のマイル王に輝いたダノンキングリーを撃破。続くマイルCS(G1)ではグランアレグリアの2着に入り、マイル界を牽引する立場を担うはずだった。
ところが4歳以降は「0-1-0-5」という平凡な成績が残っている。唯一、馬券に絡んだのは昨年の安田記念。これ以外のレースではことごとく馬券圏外に沈んでいる。
今年の始動戦は2月の中山記念(G2)。久々の9ハロン戦で4着に敗れはしたが、メンバーでただ1頭58kgを背負い、勝ち馬とは0秒2差の接戦だった。
勝負所で窮屈になったことに加えて、最後の直線では加速しかけたところで進路が狭くなる致命的な不利も大きく響いた。道中で受けた2度のロスがなければ、勝ち負けだったのは間違いないだろう。広い京都の外回りコースなら、この馬らしい走りが見られるはずだ。
不安材料を挙げるとすれば、3度目となる関西への長距離輸送か。過去2回はどちらもマイルCSでの阪神遠征で、2着と5着と勝利はない。今回はレース前週の13日に美浦を出発。初めての栗東滞在で万全を期す。滞在効果が出るようなら、当然最有力候補になるだろう。
シュネルマイスターを迎え撃つ関西馬の代表格が、昨年の当レース覇者でもあるソウルラッシュ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
昨年は、3連勝中の上がり馬として重賞初挑戦で優勝。浜中俊騎手に乗り替わった2021年12月の1勝クラスから一気の4連勝で重賞ウイナーへと上り詰めた。
続く安田記念でも上位人気の一角に推されたが、末脚に懸けた最後の直線で進路が塞がる致命的な不利もあって13着。浜中騎手も「まともに追えず、うまく誘導できませんでした」と悔やんでいた。
秋は松山弘平騎手に乗り替わって富士S(G2)で始動。ここでセリフォスの2着に好走して改めてその実力を示すと、続くマイルCSでも4着に好走し、G1でも上位争いができるところを見せた。
5か月の休養を挟んだ今回は引き続き松山騎手とのコンビ。勝てば、2011~12年のシルポート以来、11年ぶりのレース連覇となる。ちなみに前回のシルポートも阪神→京都と開催場所を替えての2連覇だった。
実績的にはシュネルマイスターとソウルラッシュには劣るが、勢いではこの馬が一番かもしれない。キタサンブラックの初年度産駒、ジャスティンスカイ(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
昨年の青葉賞(G2)で3番人気に推されるなど、ジャスティンパレスとジャスティンロックに次ぐ三木正浩オーナーも期待する素質馬だ。しかし、日本ダービー(G1)前哨戦で11着に大敗すると、夏の札幌で2勝クラスも取りこぼしてしまい、路線転向を強いられた。
それまで2000m以上の距離を走っていたジャスティンスカイだったが、秋初戦は1600mに距離を短縮。すると、これが見事にハマった。
再始動戦の鷹巣山特別(2勝クラス)を豪快に差し切ると、続く秋色S(3勝クラス)で実力馬レッドモンレーヴを撃破。さらに前走の洛陽S(L)でココロノトウダイ以下をねじ伏せ、マイルでは無傷の3連勝を飾り、青葉賞以来となる重賞に挑む。
3連勝中は石橋脩騎手、D.レーン騎手、福永祐一騎手(現調教師)と鞍上が定まっていないが、今回は川田将雅騎手との初コンビ。連勝を伸ばせば、安田記念でも有力視される存在になりそうだ。
昨年のセントライト記念(G2)を勝ったガイアフォース(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は、一気の距離短縮で変わり身を狙う。
昨秋は菊花賞(G1)で1番人気に支持されるなど、中長距離路線での活躍が期待された。ところが、初の3000m戦で序盤から流れに乗ることができず、距離も長かったか8着に敗戦。巻き返しを期した年明け初戦のAJCC(G2)でも1番人気を裏切って5着と不甲斐ない競馬が続いている。
陣営は次週の天皇賞・春(G1)も選択肢に入れていたようだが、敢えて初のマイル戦を試すことになった。この判断がいい方向に転がるか。
ここまで名前を挙げた4頭はいずれも京都競馬場に初参戦の馬ばかり。改修前だったとはいえ、3歳時に4度のコース経験を有するのがエアロロノア(牡6歳、栗東・笹田和秀厩舎)だ。
3連勝で臨んだ2年前の当レースでは1番人気に推されたが、その時は5着に敗れた。その後はリステッドで2勝しているものの、重賞では2走前の京都金杯(G3)2着が最高着順となっている。
鞍上を務めるのは3度目コンビの武豊騎手。先日の大阪杯(G1)制覇に続き、15日にはオオバンブルマイでアーリントンC(G3)を勝つなど、この春の存在感は抜群だ。装いを新たにした京都競馬場で行われる最初の重賞で、最も絵になる男が勝っても何ら不思議はないだろう。
この他には、昨年のシンザン記念(G3)覇者で、NHKマイルCでも2着に好走したマテンロウオリオン(牡4歳、栗東・昆貢厩舎)、昨年のスプリングS(G2)覇者ビーアストニッシド(牡4歳、栗東・飯田雄三厩舎)、2年前の京成杯(G3)覇者グラティアス(牡5歳、美浦・宮田敬介厩舎)など重賞勝ち馬もスタンバイしている。
春のマイル王を決める安田記念に向けて大きな意味を持つ一戦を制するのは果たしてどの馬か。マイラーズCは23日、15時35分に発走を予定している。