【フローラS(G2)展望】武豊絶賛、社台ファームが誇る良血馬VS G1・11勝の世界的名牝の血を引くサトノダイヤモンドの秘蔵っ子

 23日、春の東京開催オープニングを飾るフローラS(G2)が芝2000mを舞台に行われる。2着までにオークス(G1)の優先出走権が与えられるトライアルで切符を手にするのは果たしてどの馬となるのか、早速展望していこう。

 ソーダズリング(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、父ハーツクライ、母ソーマジックという良血。母は現役時代に桜花賞(G1)で惜しい3着に入るなど、牝馬三冠を皆勤した。

 現役引退後は生まれ故郷の社台ファームで繁殖入り。ソーダズリングを含めて産駒8頭中7頭がJRAで勝利を挙げ、マジックキャッスル(愛知杯)とソーヴァリアント(チャレンジC連覇)の2頭が重賞を勝っている。

 本馬はデビューがやや遅く、今年2月の未勝利戦で初出走。既走馬相手にもかかわらず1番人気に推されたが、マンデヴィラにハナ差の惜敗を喫した。

 1か月後に再び未勝利戦に出走すると、2戦目で順当に良化。好位追走から上がり最速タイの末脚を発揮して、最後は2着に2馬身半差をつける好内容で勝ち上がっている。

 余力十分の勝ちっぷりには、デビューから2戦続けて手綱を取った武豊騎手も「4コーナーの手応えも抜群だったし、抜ける脚も速かった」とパートナーを絶賛。今回は戸崎圭太騎手への乗り替わりが予定されているが、レジェンド騎手のコメントからも、その末脚が重賞で通用しても驚けない。母や兄姉が成し得なかったクラシック制覇の夢に向けて、オークスの権利獲りは至上命題となりそうだ。


 ドゥムーラン(牝3歳、美浦・尾関知人厩舎)は、サトノダイヤモンドの初年度産駒。祖母がアメリカで24戦17勝(うちG1・11勝)の成績を残した歴史的名牝のアゼリという良血馬だ。

 母アメリはダートの短距離で3勝を挙げ、当時の1000万下クラスまで勝ち上がった。その4番仔として生まれた本馬は脚元に不安があり、デビューは今年の2月。こちらも既走馬相手の未勝利戦に出走したが、中山芝2000mでの大外17番枠という厳しい条件だった。

 ゲートは五分に出たが、行き脚がつかず、道中は後方2番手の位置取り。3角ではいったん最後方に下がったが、勝負所で一気に大外を進出すると、4角で先行集団を射程に入れ、最後は鮮やかな末脚を繰り出し、直線一気の勝利を飾っている。

 前走から約2か月の間隔を空けた今回は、キャリア2戦目でいきなりのG2戦となる。ハードルは高いが、前走の走りからあっさり突破してもおかしくはない。名牝アゼリの一族からついに大物誕生なるか。鞍上は短期免許で来日中のD.レーン騎手を確保しており、陣営の本気度がうかがえる。

 ブライトジュエリー(牝3歳、栗東・橋口慎介厩舎)もドゥムーランと同じ1戦1勝馬。こちらは父エピファネイア、母が08年のチューリップ賞(当時G3)を制したエアパスカルという血統だ。

 兄姉に目立った活躍馬はいないが、本馬は初戦で重賞級のポテンシャルを見せた。

 3月の中京で行われた未勝利戦(芝2000m)は、出走したライバル17頭のうち16頭が既走馬という不利な条件にもかかわらず6番人気に支持された。

 スタートはまずまずだったが、道中は中団後方に位置。終始馬群に包まれる形での追走となったが、4角で内に潜り込むと、直線でうまく外に持ち出して加速。鞍上がゴーサインを送ると、あっという間に他馬を置き去りにして、最後は2着馬に4馬身差をつける完勝だった。

 上がり3ハロン34秒6は次点の馬より1秒4も速く、2分1秒3の走破タイムは当日行われた古馬の特別レース(2勝クラス)の勝ちタイムより0秒3遅いだけだった。

 中間も順調で、13日の1週前追い切りは栗東CWで6ハロン78秒6の好時計。これは古馬も含めたこの日の一番時計だった。

 前走後に鮫島克駿騎手が「抜け出すと物見をするくらい余裕がありました」と話したように、秘める能力は一級品。ソーダズリングとドゥムーランが経験していない左回りで勝ち上がっている点も魅力といえるだろう。


 イングランドアイズ(牝3歳、栗東・安田翔伍厩舎)は、父キングマン、母ヌーヴォレコルトという血統もさることながら、デビュー2戦目のクイーンC(G3)で0秒1差の4着に好走している実績も見逃せない。初戦と同じ2000m戦に距離を戻す今回は勝機も十分。鞍上は引き続き横山和生騎手が務める。


 クイーンオブソウル(牝3歳、美浦・林徹厩舎)は、新種牡馬マインドユアビスケッツの期待産駒の1頭。初戦を逃げて快勝したが、続くエルフィンS(L)とアネモネS(L)はともにスタートを決めることができず、4着と3着。ゲートをしっかり決めて先行できれば面白い存在だ。


 この他には、全兄にG1を2勝したスワーヴリチャードがいるバロッサヴァレー(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)、あすなろ賞(3歳1勝クラス)でそのバロッサヴァレーに1馬身1/4先着(3着)したアウフヘーベン(牝3歳、栗東・高橋亮厩舎)、半兄に20年の毎日杯(G3)覇者サトノインプレッサがいるレシプロシティ(牝3歳、美浦・田村康仁厩舎)なども注目されるべき存在だ。

 未勝利戦で既走馬相手にデビューした3頭が中心の今年のフローラSで、打倒リバティアイランドの有力候補は出てくるか。発走は23日、15時45分を予定している。

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