角田大河、永島まなみ躍進の裏で今村聖奈が迷走中、気が付けば「68連敗」の急ブレーキ…競馬界のアイドルが苦しんだトップジョッキーの壁

今村聖奈騎手 撮影:Ruriko.I

 競馬界のアイドルがちょっとした苦境に立たされている。

 女性騎手の記録を次々に塗り替える大活躍を見せた今村聖奈騎手。華々しいデビューを飾った昨年は、JRA年間51勝を挙げ、最多勝利新人騎手賞を受賞した。その愛くるしい姿や親しみやすいキャラクターも相まって一躍「時の人」となり、イベントやゲームの登場人物の一人としても「ひっぱりだこ」の人気者となっている。

 ただ、本業である騎手としての成績は、もう一つ調子が上がってこない。それなりにチャンスのある馬に騎乗しているものの、3月12日の1勝クラスを1番人気のモックモックで制したのを最後に勝利から遠ざかっているのが実情だ。

 いわゆる「2年目のジンクス」のようなものかもしれないが、レースにおける騎乗内容について関係者から心配する声が出始めているのも事実。現場を知る記者が懸念していた内容を教えてくれた。

「元々スタートに課題のある騎手ですが、最近は出遅れが目立っていますね。斤量の恩恵がある女性騎手ですから、ある程度は前目のポジションを取っておかないと、勝負どころで届かないケースが増えてしまいます。調子のよかった昨年は、内で馬群を捌いて距離のロスを軽減するシーンも見られたのですが、最近は無難に外を回す競馬が増えています。

結果を残したことで次のステップを視野に入れていることもあって、主開催でトップクラスの先輩騎手と戦うことも増えました。それでうまい具合に技術を吸収することができればよかったのですが、彼女の場合はかえって自信を失くしている感もあります。

とはいえ、女性騎手という枠組を超える成績を残すためには、今後は先輩といえども戦っていかないといけないライバルな訳です。今は苦しい時期ですけど、何とか乗り越えて欲しいですね」(競馬記者)

角田大河騎手 撮影:Ruriko.I

 また、同期の角田大河騎手が、毎日杯(G3)で重賞初勝利を挙げただけでなく、リーディングでも14勝の今村騎手を上回る15勝と昨年より着実にレベルアップ。同じ女性騎手の永島まなみもローカルで存在感を見せているように、昨年と勢いが逆転しつつある。現状を打開しなければ、過酷な生存競争を生き残ることはできないだろう。

競馬界のアイドルが苦しんだトップジョッキーの壁

「今村騎手にも焦りがあるようで、レース後のコメントを取ろうとしたマスコミに対し『コメントは後にして下さい』など、少々素っ気ない対応も見られるようになりました。

これで思い出すのは、かつての藤田菜七子フィーバーです。当時の彼女もマスコミに追い回されて、精神的に疲れてしまった時期がありました。他に女性騎手がいなかったこともあって誰かに相談する事も出来ず、競馬に集中できなくなっていました。人気者の宿命ではありますが、今村騎手がマスコミに不信感を持っても、仕方のない部分かもしれませんね。

同じエージェントで目をかけてくれていた福永祐一騎手が引退したため、競馬場でも盾を失った感があります。表面的には昨年と変わらず笑顔で振る舞っていても、内心は違っているのかなと思います」(同)

 現在68連敗中と苦戦の続く今村騎手だが、今週末からは主開催ではなくローカルの新潟で騎乗を予定しているため、気分転換には好都合だろう。第3場ならトップジョッキーたちとの直接対決も減り、馬質もこれまでより上がる事が予想される。

 また、新潟は昨年の年間リーディングに輝いた得意舞台。自信を取り戻して、再び主開催に挑戦するためにも、まずは連敗ストップが急務だ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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