「歴代1位」ディープボンドに待った? 国内G1未勝利で7億円以上稼いだ“黄金伝説”
4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞・春(G1)。勝ったのはC.ルメール騎手の2番人気ジャスティンパレスだった。
一方、前哨戦を制して勢いに乗った4歳馬に初戴冠を許したものの、同レースで3年連続の2着に食い込んだのがディープボンドだ。
同じく3年連続2着となった和田竜二騎手は「プラン通りでしたが、直線で目標がありませんでした」と悔やんだが、「力は示しましたし、まだまだやれると思います」と6歳になった相棒を労いながら、今後の活躍に期待を寄せている。
ディープボンドにとっては、これがキャリア22戦目にして5度目の2着となった。しかもそのうち4回がG1での2着と、今回も悲願のG1タイトルには手が届かなかった。
だが、この健闘によって一つの“勲章”を手にした。
天皇賞・春の2着で8902万円の賞金を加算したことで、同馬の総賞金は6億4591万3800円となり、「G1級未勝利馬の獲得賞金」で歴代1位に躍り出たという。『netkeiba.com』の記事によると、トップ3は以下の通り。
1位:6億4591万3800円 ディープボンド
2位:6億2870万1000円 キョウトシチー
3位:6億1918万8000円 ナイスネイチャ
ちなみに今年の天皇賞・春の前時点でトップだったキョウトシチーは1996年に東京大賞典を制しているが、当時はグレード格付前だったため、「G1級未勝利馬」の扱いになっている。
3位には3着の多さから「ブロンズコレクター」と呼ばれたナイスネイチャがこんなところでも“定位置”に収まるミラクルもあり、そんな懐かしさも相まって競馬ファンの間で大きな話題を呼んだ。
G1レースでの1位は縁遠くとも、堅実に走り続けることで”1位”の勲章を掴んだディープボンド。しかし、今回のランキングでは対象外となったものの、本馬と同じように「国内のG1級未勝利」でありながら7億円以上の賞金を稼いだ名馬がいたことも忘れずに取り上げたい。
それがステイゴールドである。
国内G1未勝利で7億円以上稼いだ“黄金伝説”
1996年の12月にデビューを果たした同馬は、未勝利戦でも2戦連続で2着となるなど若駒時から勝利とは縁遠く、初勝利までに6戦。1997年の9月に条件戦を制して以降、2000年5月の目黒記念(G2)で重賞初勝利を掴むまで、実に28連敗を記録した。
しかし、その連敗中もG1で2着4回に3着が2回、G2で2着2回に3着5回を記録するなど、なんと28戦のうち22回で掲示板内を確保。50戦のキャリアで12度の2着を記録したことから「シルバーコレクター」の異名でも知られている。
それでも、現役最終年の2001年に日経新春杯(G2)と当時まだG1ではなかったドバイシーマクラシック(G2)を連勝すると、現役ラストレースとなった暮れの香港ヴァーズ(G1)を制し、7歳にして悲願のG1タイトルを掴んだ。
香港でのG1制覇によって今回のランキングからは除外されていたのだが、日本国内の成績に限定するとG1競走は未勝利で通算[5-12-8-23/48]。稼いだ総賞金は7億6299万3000円となり、ディープボンドを1億円以上も上回っているのだ。
大舞台での優勝はなくとも、出走したレースではしっかりと自身の力を発揮して、着実に賞金を持って帰る“馬主孝行”ぶりは、ディープボンドとステイゴールドの共通点と言えるだろう。
主戦の「まだまだやれる」の言葉の通り、ディープボンドにはステイゴールドのようにキャリアの最後の最後までG1への挑戦を続けてもらいたいところ。また、G1制覇の夢が叶わなかったとしても、総賞金でステイゴールドに追いつき、追い越すことができるか。
いずれにしても、ステイゴールドという名馬の存在は一つの大きな目標となりそうだ。