【ケンタッキーダービー(G1)展望】デルマソトガケ、“ソト”枠から大“ガケ”なるか!? 滑り込み出走叶った!「大井所属」マンダリンヒーローにも注目
日本時間7日朝に行われるのは、米国クラシック三冠レースの第1戦ケンタッキーダービー(G1)だ。日本からは2頭が出走を予定している。
デルマソトガケ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、芝での2戦を含めて初勝利を挙げるのに4戦を要したが、そこから3連勝で全日本2歳優駿(G1)を制覇。今年初戦のサウジダービー(G3)こそ3着に敗れたが、続くUAEダービー(G2)を逃げ切って重賞2勝目を飾った。
その前走は道中で2番手を進んだドゥラエレーデにマークされる形となったが、最後の直線では後続との差は広がる一方。結局、2着ドゥラエレーデに5馬身半差をつける圧勝劇だった。
手綱を取ったC.ルメール騎手は「道中は、マイペースで冷静に走ってくれました」と初コンビでも息はピッタリだったこと、「直線ではだんだん加速していき、馬の反応がとても良かったです」と最後まで手応え抜群だったことを明かした。
さらに「無理をしないで勝つことができたので、次も楽しみです」と、余力を残しての勝利だったことも付け加えたのだから、今年3戦目となる今回もかなり期待が持てそうだ。
また、前走こそ逃げ切り勝ちを収めたが、全日本2歳優駿は中団から差し切っているようにどんな競馬にも対応できるのがこの馬の強み。5日現在、ケンタッキーダービー公式サイトが発表した単勝オッズは13.0倍で、20頭中6番人気とまずまずの評価を受けている。
外目の17番ゲートから大駆けなるか。ルメール騎手の作戦にも要注目だ。
日本馬2頭目は矢作芳人厩舎のコンティノアールになるはずだった。しかし、5日にJRAから発表されたのは無念の出走取消。矢作師も「断腸の思いで決断しました」と苦しい胸の内を打ち明けている。
コンティノアールと入れ替わるように出走が決まったのは、補欠2番手で待機していたマンダリンヒーロー(牡3歳、大井・藤田輝信厩舎)。
本馬は南関東の大井に所属するシャンハイボビー産駒で、昨年6月のデビューから4連勝でハイセイコー記念を制覇した実力馬である。5戦目で初黒星を喫したが、4月のサンタアニタダービー(G1)でアメリカの強豪相手にハナ差2着の大接戦を演じ、現地での評価も上々だ。
繰り上がり出走といえば、昨年の勝ち馬リッチストライクが思い出される。他馬の出走回避でレース前夜に出走が決まり、現地オッズでは20番人気というノーマークの存在だったが、直線で1番人気のエピセンターを豪快に差し切って大金星を挙げた。
マンダリンヒーローは滑り込み出走のため、20頭立ての22番枠。厳しい枠順にはなるが、いつも通り何とか好位に取り付きたいところだろう。鞍上はカナダを拠点に活躍する日本人の木村和士騎手。前走に続き、2度目のコンビで全米を驚かすことができるか。
海外勢は現地で1~3番人気に推されている3頭をピックアップしたい。
最新のオッズで1番人気の支持を得ているのは、デビューから7戦6勝のフォルテ(牡3歳、米・T.プレッチャー厩舎)。6勝のうち4勝がG1という実績が光る。
1000mでデビューしたように血統的には短距離色が強い。ただし、徐々に距離を延ばしながらその都度、壁を克服してきた。前走・フロリダダービー(G1)では初の1800mもあっさり突破している。
父はサドラーズウェルズ系のバイオレンスで、その産駒はやはり短距離馬が多い。JRAでも産駒9頭が走り、計10勝を挙げているものの、勝利は全て1400m以下とやはり距離には限界がある。
能力だけで2000m先のゴールを先頭で駆け抜けることができるか。
2番人気に推されているのはフォルテと同厩のタピットトライス(牡3歳、米・T.プレッチャー厩舎)だ。
昨年11月のデビュー戦で3着に敗れたが、その後は4連勝中。前走のブルーグラスS(G1)では、直線で実力馬ヴェリファイングとの激しい叩き合いを制した。
父は距離万能種牡馬のタピット。日本ではグランアレグリアの母の父としても知られる。自身は04年のケンタッキーダービーに出走し、3番人気に支持されたが9着に敗れている。
息子は19年前の父の雪辱を果たせるか。
3番人気に推されているのはエンジェルオブエンパイア(牡3歳、米・B.コックス厩舎)だ。
重要な前哨戦の一つ、アーカンソーダービー(G1)を4馬身1/4差で圧勝し、勢いはメンバーでも最上位といえるだろう。
本馬の父クラシックエンパイアも17年のアーカンソーダービーを勝ち、ケンタッキーダービーに臨んだが、オールウェイズドリーミングの4着に敗れている。この馬もタピットトライスと同様に父の無念を晴らしたい1頭である。
有力馬3頭の名前を挙げたが、今年のケンタッキーダービーは大混戦の様相を呈している。日本馬2頭を含めてどの馬が勝ち名乗りを上げても全く不思議ではない。発走時間は日本時間7日、午前7時57分を予定している。