「騎乗自粛」はできなかったのか? 30日間騎乗停止の若手6名「今週騎乗」に違和感…藤田菜七子「未成年飲酒騒動」との違いとは
「色々な方にご迷惑をおかけしましたが、こうして競馬に参加させていただき、チャンスのある馬にも乗せていただいたことには感謝しております」
6日、京都競馬場で行われた8R・4歳以上1勝クラスは、1番人気のマナウス(牝4歳、栗東・田中克典厩舎)が4馬身差で完勝。今年これが9勝目となった鞍上の古川奈穂騎手だが、3週連続勝利の中でも終始神妙な面持ちだった。
スマートフォンの不適切な使用により、若手騎手6名が30日間の騎乗停止になるという前代未聞の事案に揺れた今週の競馬界。週末に向けて処分対象となった騎手たちが次々と謝罪の意を発表していたが、すでに自身のインスタグラムなどを通じて陳謝していた古川奈騎手も、レース後のインタビューを通じて改めてファンや関係者へ謝罪した格好だ。
Twitterのトレンド1位が「騎乗停止」になるなど、世間から大きな注目が集まった今回の一件。今村聖奈騎手や永島まなみ騎手といった人気女性ジョッキーも処分対象であることが発覚し、SNSなどでは「裏切られた気分」「これはやってしまったな」「応援してたけど、本当に残念」といったファンからの悲しみの声も非常に多かった。
中には「調子に乗ってるからこうなる」「非常識にもほどがある」「二度と馬券買わない」といった非常に厳しい声もあったようだが、やはり応援していた分、落胆も大きかったのかもしれない。
若手騎手6名「今週騎乗」に違和感…
そんな異常事態が冷めやらぬ中で迎えた今週末。まさに「炎上中」と言う他ない若手ジョッキーたちは、それぞれが競馬に参加した。関係者の間では、事前に現地のファンからブーイングが集まらないかを心配する声もあったようだ。
「すでに騎乗停止というニュースが大きく報じられている中で騎乗するわけですから、ただでさえ注目されますし、まだ騎乗していること自体に違和感を覚えたり、反省していないと感じるファンもいるかもしれません。そういった意味で、今回の6人を心配する声もありました。
ただ幸い……と言って良いかはわかりませんが、少なくとも自分が知る限りでは特別目立った野次や罵声などは見られませんでした。
今回はJRAが掲げる公正競馬の確保に関わる件ですので、30日間の騎乗停止は妥当だと思います。ただ、現在のところあくまで調整ルームなどでスマホを使用しただけで、八百長などに繋がるような痕跡は確認できなかったとのこと。JRAは他の騎乗停止と同じように処分前に1週間の不服申し立て期間を設けています。それが今週の騎乗に繋がったというわけですが、若い6人にとっては非常にキツイ週末になったでしょうね」(競馬記者)
その上で記者は「(今週は)騎乗を自粛してもよかったのでは」と話す。
「今回、女性ジョッキーで唯一処分対象にならなかったことで脚光を浴びることになった藤田菜七子騎手ですが、実は2年目の時に未成年飲酒の一件で騎乗を自粛した経験があります。
実際に飲酒していたのは同期の騎手で、藤田騎手に直接的な処分はなかったのですが、その場に立ち会いながらも注意しなかったことで、師匠の根本康広調教師と話し合った結果、反省するために騎乗を自粛することを決めたそうです。
あの時とはケースが違いますし、JRAの公式発表が(出馬確定の木曜の前日の)水曜日だったこともあって難しかったかもしれませんが、騎乗を自粛するジョッキーがいなかったのは少し意外でした」(同)
「クラスが上がっても楽しみな馬です」
レース後、マナウスにそう期待を寄せた古川奈騎手を始め、今回の処分対象となった6人の若手にとっては、忘れられない週末になるだろう。まずは無事に明日の騎乗を終えて、しっかり反省して出直してほしい。