武豊vs今村聖奈に待ったをかける男あり?真夏の祭典「WASJ」出場をかけた争いがアツい!

撮影:Ruriko.I

 2023年も折り返し地点が迫る中、JRAでは先週から函館での開催がスタート。来月22日からは札幌に舞台を移し、9月3日まで北海道で中央競馬の開催が行われる。

 夏の北海道開催における目玉のひとつに、国内外のトップジョッキーたちによる真夏の祭典「ワールドオールスタージョッキーズ」(以下、WASJ)がある。今年も4月9日に開催が発表されており、8月26日~27日の2日間に渡って実施される予定だ。

「WAS選抜(外国騎手・地方競馬所属騎手チーム)」と「JRA選抜(JRA代表騎手チーム)」、選ばれし各7名・計14名が4レースの着順ポイントの合計を競うチーム対抗戦。また、個人の獲得ポイント上位3名にも表彰が設けられ、優勝者には賞金300万円とトロフィーが贈られる。

 コロナ禍による中止を挟み、3年ぶりの開催となった昨年はJRA選抜が表彰台を独占。71ポイントを獲得して優勝した武豊騎手は1992年に前身の「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」を制して以来、実に30年ぶりの栄冠を掴んだ。

 気になるJRA選抜の選出基準を見てみると、指標のひとつとなる「勝利数」は今年1月から6月25日までに稼いだ数が選考の対象。ボーダーが2週間後に迫ってきたところで、出場の可能性を持つ騎手も徐々に浮かび上がってきた。7枠しかない出場権を掴むのは一体誰なのか、現時点での候補を選出基準の優先順位に沿ってまとめてみたい。


☆順位1:本年の日本ダービー(G1)優勝騎手
=【該当なし】(※JRA所属ではないD.レーン騎手が優勝したため)

☆順位2:前年のJRA賞騎手部門「MVJ」受賞者
= 【戸崎圭太騎手】

☆順位3:勝利数東西上位1位
=【横山武史騎手】
=【川田将雅騎手】
(※6月11日終了時点)


 今年はダービーを制した騎手がJRA所属騎手ではなかったため、「順位3」までに埋まった枠は3つ。残る4つのイスを「順位4:顕著な活躍を認められた騎手」と「順位5:勝利数上位の騎手」で奪い合うこととなる。

「顕著な活躍」とは、JRAの選考委員会が出場者を決するいわゆる“推薦枠”であり、事前に候補者の公表はなく、選出される人数の規定なども概要には明記されていない。

 現時点での考え方としては、残る4名の候補を「順位5:勝利数上位の騎手」から割り出し、「順位4」で選ばれる人数によって、下位の騎手が順番に脱落していくというイメージとなる。今年ここまでの全国リーディングから候補となる騎手をピックアップすると以下のようになった。


☆順位5:勝利数上位の騎手
1位 = 川田将雅騎手(関西1位で選出圏)
2位 = 【C.ルメール騎手】
3位 = 横山武史騎手(関東1位で選出圏)
4位 = 【岩田望来騎手】
5位 = 【松山弘平騎手】
6位 = 戸崎圭太騎手(昨年の「MVJ」で選出確定)
7位 = 【坂井瑠星騎手】
(※6月11日終了時点)


 3年ぶりの開催となった昨年は3名が「顕著な活躍」によって選出されたものの、このうち福永祐一騎手はコントレイルと達成したクラシック三冠、松山弘平騎手もデアリングタクトとの牝馬三冠が選出理由。いずれも2020年に残した功績であり、同時期にWASJが開催できなかったという事情があってのことだった。

 それ以前の5回を振り返ってみると、2名が選出された17年と19年の例もある。。1~2の枠を巡る争いと考えると、今年はこのバトルも熾烈を極めそうだ。

 まずWASJを語るうえで欠かせないのが、レジェンド・武豊騎手だ。今年1月のシンザン記念(G3)を制し、デビューから37年連続の重賞勝利を記録するとともに、史上初となるJRA重賞通算350勝という大偉業を成し遂げた。今年2月にはこれまた前人未到のJRA通算4400勝も達成しており、こうした実績を踏まえてもディフェンディングチャンピオン不在の状況は考えづらい。

 レジェンドの対抗格としては、デビュー2年目・今村聖奈騎手の名前が挙がる。昨年はルーキーイヤーながら51勝をマークして、JRAの女性騎手による年間勝利記録を更新した。2019年には藤田菜七子騎手が「ウィメンジョッキーズワールドカップ優勝」と「JRA女性騎手の最多勝記録を更新中」などという理由から選出されているだけに、ニューヒロインの参戦にも期待は高まる一方で、自身の過失により先週まで「30日間の騎乗停止」という処分を受けていた点はネックとなる可能性もありそうだ。

 さらにもう一人、「顕著な活躍」として忘れてはならないのが吉田豊騎手だろう。現時点で全国リーディング57位、JRA重賞は未勝利というデビュー30年目のベテランだが、今年2月に行われた世界最高賞金レース・サウジC(G1)を日本人騎手として初めて優勝。相棒・パンサラッサに日本馬初の快挙をもたらしたインパクトは大きい。ドバイワールドC(G1)を制した川田将雅騎手とともに、海外の強豪を迎え撃つという夢のような戦いが札幌で実現するかもしれない。

 パッと思いつく限りで3名の候補が挙がってくる中、「順位5」の中の争いも混戦。1番手のC.ルメール騎手(65勝)は2番手の岩田望来騎手(52勝)と13勝差という大きなリードを築いているが、岩田望騎手の背後には松山騎手(50勝)がピタリとつけており、ここは残り4日間の戦いで入れ替わる可能性も十分にある。

 2番手で6月25日を終えることができれば、「順位4」で2名が選出されることになっても最後の1枠を確保することができるが、3番手になってしまうと「順位4」の選出が1名になることを祈るほかない。初出場がかかる岩田望騎手は現在の位置を守れるのか、はたまた松山騎手や坂井瑠星騎手(45勝)、その一列後ろで構える鮫島克駿騎手(42勝)が猛チャージをかけるのか。こちらも注目ポイントとなる。

 例年以上に激戦模様となっている“7つのイス”を巡る争い。真夏の祭典への切符を掴むのはどの騎手になるのか。残り2週間の戦いを見守りつつ、出場騎手の正式発表を楽しみに待ちたい。

GJ 編集部

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