連覇狙う川田将雅の「弱点」も浮き彫り…スランプ脱却の元王者が逆襲に虎視眈々、徐々に大きくなる「Xデー」の足音
25日阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)を控えた中央競馬。グランプリを前に今年のリーディングジョッキー争いも白熱している。
昨年はデビュー19年目にして初の全国リーディングを川田将雅騎手が獲得。2017年から21年まで5年間、不動のトップを守り続けていたC.ルメール騎手の牙城を崩すことに成功した。
「日本人騎手としてJRAの生え抜き騎手として、戸崎圭太騎手がリーディングを獲った後、C.ルメール騎手がリーディングを獲る中で、取り返したいという思いで時間はかかってしまいました」
こちらは「本当に感慨深いです」と振り返った川田騎手のコメントだが、日本のトップにまで上り詰めた名手の視線は当然ながら連覇だろう。今年も先週の開催を終えた段階で70勝を挙げて単独1位。このまま独走態勢に持ち込むことができれば、2年連続のリーディングも夢ではない。
しかし、昨年についてはルメール騎手が、ちょっとしたスランプに近い状況だったことも大きかった。
リーディングを守り続けた年には200勝前後をマークしていたものの、昨年に限れば109勝と半減。川田騎手に首位を明け渡しただけでなく、2位の戸崎圭太騎手、3位の横山武史騎手、4位の松山弘平騎手にも後れを取って5位まで落ち込んだ。これはルメール騎手が15年から正式にJRA所属の騎手となって以来、最も悪い成績である。
勿論、そんなことは川田騎手も重々承知の上だろう。名前を出した本人も実力を十分に発揮したルメール騎手を倒してこそ意味があると考えているはずだ。
対するルメール騎手も王座奪回に向けて、今年は好調をキープしている。現在65勝でトップと5勝差程度なら十分に射程範囲。得意の北海道で勝ち星の量産も見込めるのではないか。もはや恒例となっている正月休みや夏季休暇を取得しながら、過去にリーディングを維持していただけに、大きなビハインドとはならないのではないか。
連覇狙う川田将雅騎手の「弱点」も浮き彫り…
その一方、川田騎手の課題となりそうなのは、短期免許で来日する外国人騎手たちの存在だ。
D.レーン騎手がテン乗りで日本ダービー(G1)を制し、乗り替わりの馬が勝てないという負のジンクスを克服したことが話題となる中、思うように勝ち星を伸ばせずペースダウン。一時は突き放したルメール騎手との差も5勝差まで詰まったように、新旧王者がデッドヒートを繰り広げている。
今年の秋にはR.ムーア騎手やJ.モレイラ騎手をはじめ、複数の“刺客”が来日するという噂もあるだけに、馬質の低下は免れないだろう。
川田騎手が現役随一の勝率の高さを誇るとはいえ、それは勝ち負けの期待が大きな馬を吟味して乗鞍を絞っていることも、後押しとなっている。勝ち星の多数を占めるノーザンファームや社台ファームが重賞で外国人騎手を優先的に騎乗させるため、競合相手が増えるのは厄介だ。
ただでさえ、昨年のスランプから脱却したライバルに加え、少数精鋭の騎乗馬も外国人騎手の存在で割を食うのだから、連覇のハードルは必然的に上がってくる。
また、グランプリではルメール騎手が大本命と目されるイクイノックスに騎乗を予定しているが、川田騎手はブレークアップとのコンビを予定。G1級の素材と評価されているプログノーシスでの参戦を期待されたが、どうやら復帰はまだ先の話となるようだ。
上半期の総決算といえる宝塚記念の週を含めて6月も残り2週。王座奪還の「Xデー」到来を目論むライバルの足音も徐々に大きくなりつつある。2年連続リーディングを盤石のものにしたい川田騎手としても、トップを維持したまま前半戦を折り返したいところだ。