今村聖奈、角田大河ら「自滅」の裏で勢力図に変化!急成長のダークホースが見せた存在感…前年「一桁勝利」から大逆転の注目株とは

撮影:Ruriko.I

 春のG1真っ盛りの5月に競馬界を騒然とさせた若手騎手の騎乗停止処分。競馬開催中にスマートフォンを不適切に使用したとしてJRAから今村聖奈角田大河、古川奈穂、永島まなみ、小林美駒、河原田菜々ら6人の騎手に対し、5月13日から6月11日までの30日間(開催10日間)の騎乗停止が発表された。

 ようやく謹慎期間も終了となり、今週末のJRA開催に先駆けて今村騎手は金沢、永島騎手は名古屋に参戦。その他の騎手も調教に参加するなど、着々と復帰への準備を整えているようだ。

 競馬界のニューアイドルとしても注目を集める今村騎手は、昨年に51勝を挙げて新人賞の栄誉も手に入れたばかり。2年目のさらなる飛躍を期待されていただけに、このタイミングでの戦線離脱は非常に残念である。

 また、今村騎手との通話が発覚した角田河騎手にとっても同じことが言える。昨年の勝ち鞍こそ36勝と後れを取ったが、同騎手は騎乗技術や将来性において、一部の関係者やファンから今村騎手以上と噂されるホープ。この世代は今村&角田河の二強ムードが続くと見られていた。

 しかし、共に重賞初勝利を経験した2人の活躍がクローズアップされる裏で、密かに頭角を現した若手騎手もいる。

佐々木大輔騎手 撮影:Ruriko.I

 それが、今年に入って急成長を遂げた佐々木大輔騎手(19歳、美浦・菊川正達厩舎所属)だ。

 デビュー年は273鞍に騎乗して9勝と一桁台の勝利に終わったが、今年は先週の開催終了時点で22勝するまで急成長。リーディングを狙った春の新潟開催では、菱田裕二騎手の逆転を許したものの、関係者に対して乗れる若手としてアピールは成功したはずだ。

 11日の函館開催で通算31勝目(JRA30勝、地方1勝)もクリアし、G1競走の騎乗が可能になった。これに伴い来週から見習い騎手の減量特典も3キロから2キロとなるが、現在の佐々木騎手なら克服しそうな勢いも感じる。

 それと同時に暫定的にではあるが、昨年デビューした騎手のリーディング争いで単独トップの奪取にも成功。これも20勝の角田河騎手や15勝の今村騎手が“自滅”した謹慎中に勝ち星を積み重ねた結果が大逆転へと繋がった。

 まだ経験の浅い若手ということもあり、道中のレース運びや精神面の課題は残されているものの、普段の彼を知る記者からは「凄く真面目な性格で研究熱心。何より今は競馬が第一といった生活を送っています。大金を手にして遊びを覚える若手や同期が多い中、彼は羽目を外す事なく考えて行動しています」と評価も高かった。

 現在はプチブレイクといったところだが、この勢いで順調に成長していくようなら、一時的な勢力図の変化に留まらず、今村&角田河の二強を脅かす存在となるかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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