ドゥラメンテ「最後の産駒」に熱視線! リバティアイランド、タイトルホルダーに続くのは…リスグラシュー弟、ジェンティルドンナ妹?

撮影:Ruriko.I

 先月28日に3歳世代の頂点を決める日本ダービー(G1)が行われ、その翌週から2歳の新馬戦がスタート。開幕から毎週のように続々と未来の大物候補が勝ち名乗りを上げるなど、ファンだけでなく関係者からも高い関心が寄せられている。

 そんな中、早くも「次」に向けた争いが、いよいよ本格的に熱を帯びようとしている。来月10、11日にセレクトセール2023が控えているからだ。

 日本最大の競走馬セリ市には、今年も1歳馬・当歳馬合わせて計440頭が上場予定。日本だけでなく、世界中のホースマンが注目し、宝石のように煌びやかな良血馬たちによるショーは、金銭が本来持つアイデンティティを瞬く間に失わせるはずだ。

 ちなみに昨年の2日間の合計売上は、従来の最高額225億5600万円(2021年)から約14.2%増の257億6250万円。日本の景気がどれだけ冷え込んでも、ここだけは完全に別世界といって差し支えないだろう。

「ドゥラメンテ最後の産駒」に熱視線!

 今年最大の目玉は、何と言ってもドゥラメンテの産駒だ。

 一昨年の菊花賞馬タイトルホルダーに加え、昨年の牝馬二冠馬スターズオンアース。今年もリバティアイランドが圧倒的な走りで牝馬三冠に王手をかけただけでなく、NHKマイルC(G1)をシャンパンカラーが制し、その層の厚さを見せつけている。

 だが、そんなドゥラメンテの産駒も2022年生まれがラストクロップ。すなわち、11日に行われる当歳馬のセリに同産駒は上場されない。“早逝した天才”の良血馬を手にできる実質的な“ラストチャンス”の10日は当然、多くのバイヤーから熱視線を集めているに違いない。

 ちなみにドゥラメンテ産駒は14頭がスタンバイ。中でも最も大きな注目を集めそうなのが、リリサイドの2022(牡)だ。

 姉に2019年の年度代表馬リスグラシューがいる良血馬。牝馬ながらに宝塚記念(G1)と有馬記念(G1)を制しただけでなく、豪州最大のレースの1つコックスプレート(G1)を勝ったことで、世界的な注目を集めた名牝だ。

 リスグラシュー以降、これといった“当たり”が出ていない血統だが、やはり「ドゥラメンテならば」という期待は大きい。姉の果たせなかったクラシック制覇へ――と言いたいところだが、海外の馬主の手に渡る可能性もあるだろうか。


 一方、リリサイドの2022に負けない注目を集めそうなのが、ドナブリーニの2022(牝)だ。

 姉は言わずと知れた三冠牝馬ジェンティルドンナ。ジャパンC(G1)を連覇するなど、2012、14年と2度も年度代表馬に輝いている。また、その娘ジェラルディーナが昨年のエリザベス女王杯(G1)を制し、来週の宝塚記念にも参戦予定だ。

 他にもダービー馬のロジャーバローズや、重賞2勝のドナウブルーなども近親に名を連ねるなど、大物感は満載。牝馬だけに2番手評価としたが、落札額は安くないだろう。


 次に取り上げたいのが、ドゥラメンテの傾向と相性の良さそうなコンドコマンドの2022(牝)だ。

 さすがに血統的なスケールは上記2頭に劣るものの、兄のコマンドラインはデビュー前にC.ルメール騎手が「ダービーも(騎乗の)予約をしておきます」と惚れ込んだほどの逸材だった。

 ドゥラメンテ産駒の大物牝馬といえば、前述した通りスターズオンアース、リバティアイランドと早期からの活躍が目立っている。兄弟には他にも出世レースの東京スポーツ杯2歳S(当時G3)で2着したアルジャンナもおり、父の特徴がハマれば3頭目の大物牝馬がこの馬になってもおかしくない。


 コンドコマンドの2022と同じく早期活躍が期待できそうなのが、ファイナルスコアの2022(牡)だ。

 姉にチューリップ賞(G2)3着のノーブルスコアがいる程度の血統だが、一族には愛オークス(G1)、ヨークシャーオークス(G1)を勝ち、凱旋門賞(G1)でも2着したSea of Classを筆頭に、世界中で重賞好走馬が多数いる。日本だと2020年のクラシックを賑わせたワーケアが有名か。

 母父にサンデーサイレンスの血を持っているためか、ドゥラメンテの大きな特徴として非サンデー系との相性がいい傾向がある。

 タイトルホルダー(母父Motivator)、スターズオンアース(母父Smart Strike)、リバティアイランド(母父All American)、シャンパンカラー(母父Reckless Abandon)などがその代表格であり、母が日本ではやや不向きな欧州よりの血統でも難なく適合させてしまうのが、この稀代の種牡馬の最も優れた点の1つといえるだろう。

 ファイナルスコアの2022の母父Dylan Thomasも額面通りなら、やや“重さ”が気になる血統だが、ドゥラメンテなら何とかしてしまうかもしれない。


 他にも一族にG1・2勝のディアドラ、今年のきさらぎ賞(G3)を勝ったフリームファクシなどが名を連ねるシャルマントの2022(牝)、母が海外の重賞勝ち馬であるセータコローナの2022(牡)、ウィープノーモアの2022(牡)、アイヴィベルの2022(牝)なども注目か。様々な思惑が交差するセリ市だけに、思わぬ価格高騰があるかもしれない。

 果たして「ドゥラメンテ最後の大物」はこの中にいるのだろうか。“早逝した天才”の良血馬を巡る攻防は、熱い1日になりそうだ。

GJ 編集部

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