「評価爆上がり」キタサンブラック産駒は今年が最後のお買い得!? 第二のイクイノックス&ソールオリエンス候補の争奪戦
7月10日、11日の2日間にわたって行われるセレクトセール2023が近づいてきた。
前回、第1弾として1歳セールが最終世代となるドゥラメンテの産駒を取り上げたが、ならば同世代のライバル・キタサンブラックの産駒に触れないわけにはいかないだろう。
現役時代は2015年クラシックの覇権を懸けて戦った両者だが、ドゥラメンテが春二冠。キタサンブラックは“王者不在”の菊花賞(G1)勝利を足掛かりに、出世街道を驀進した。成長曲線の違いや、前者が故障したことなどですれ違いが目立った2頭だが、種牡馬入りしてからは人気を分け合う「2強時代」を築いている。
代表産駒は、昨年の年度代表馬イクイノックスだ。この春はドバイシーマクラシック(G1)を制したことで“世界No.1”の評価を受け、来週の宝塚記念(G1)でも圧倒的な1番人気が予想されている。また、3歳からも皐月賞馬ソールオリエンスという大物が出現。生涯のライバル・ドゥラメンテが早世したことはただただ残念だが、まるでお互いの競走生活をなぞるように、今度はキタサンブラックが種牡馬界の覇権を握ることになりそうだ。
そんなキタサンブラックの産駒だが、セレクトセール2023には合計21頭がエントリー。ドゥラメンテほどの派手さは感じられないが、イクイノックスもソールオリエンスも決して超が付くほどの良血馬ではなかった。ここに大物が潜んでいる可能性は十分にあるだろう。
「評価爆上がり」キタサンブラック産駒は今年が最後のお買い得?
まずは2日目11日に登場予定の当歳馬から紹介したい。筆頭はキラーアビリティの半弟にあたるキラーグレイシスの2023(牡)だ。
一昨年のホープフルS(G1)を制して世代の中心に躍り出たキラーアビリティだったが、期待された翌年のクラシックでまさかの大不振。早熟説も噂された中、昨年12月の中日新聞杯(G3)で復活勝利を挙げるなど、ここに来て復調気配を見せている。
G1馬になった兄はディープインパクト産駒だったが、キタサンブラックはその全兄ブラックタイドの産駒と血統構成の共通点は少なくない。代表産駒のイクイノックスやガイアフォース(セントライト記念・G2)のようにやや奥手の面があるだけに面白い組み合わせといえるだろう。
また、ウィルソンテソーロが今年のかきつばた記念(G3)を勝つなど、キタサンブラック産駒はダートでも活躍馬を送り出している。そういった面で楽しみなのが、アンジュシュエットの2023(牡)だ。
半兄に南部杯(G1)で2着するなど、ダートの短距離路線で活躍しているヘリオスがいる血統。兄同様、息の長い活躍が期待されるが、その一方で来年からJRAと地方競馬統一という形でダート三冠路線が誕生するだけに、今年のセレクトセールではダート馬の需要が高まるかもしれない。父キタサンブラックなら、兄より距離をこなしてもおかしくないはずだ。
他にもシナジーウィスパーの2023(牡)は兄弟に大きな活躍馬はいないものの近親に豪G1・2勝のトーセンスターダム、天皇賞・秋(G1)を勝ったトーセンジョーダンなど活躍馬が多数いる血統。同じように、近親にシンハライト(オークス・G1)やリラヴァティ(マーメイドS・G3)などがいるビーコンターンの2023(牝)も一目置かれるべき存在だろう。
ある意味で興味深いのが、タッチウッドの半弟にあたるアメージングムーンの2023(牡)だ。
叔父に短距離王のローレルゲレイロがおり、兄に重賞2勝のノースブリッジなどがいる良血。3つ上の兄タッチウッドが今年の共同通信杯(G3)2着からクラシックに進む活躍を見せたが、こちらはドゥラメンテ産駒。父がキタサンブラックに替わって、どのような成長曲線を描くか楽しみな逸材だ。
また1日目10日に登場予定の1歳馬は6頭と数は少ないが、アルテリテの2022(牝)はエピファネイア産駒の半兄が一昨年のセレクトセールで2億4200万円(税込み)で取引された注目の血統。重賞戦線で活躍したシャドウディーヴァの半弟にあたるダイヤモンドディーバの2022(牡)も楽しみな存在だろう。
イクイノックスやソールオリエンスが証明しているように、当たれば超大物まで期待できるキタサンブラックの産駒。種牡馬として年々評価を上げており、産駒が大活躍した今年は価格高騰が避けられないだろう。
ライバル・ドゥラメンテと共にセレクトセールでも“2強”を築くだろうか。