「なんで控えなかったのかな」元JRA田原成貴氏、後輩の“暴走”に苦言…今村聖奈&松若風馬と“お付き合い”で武豊超えならず
18日、阪神競馬場で行われた13頭立てのマーメイドS(G3)は、中団後方を進んだ1番人気のビッグリボンが最後の直線で馬場の真ん中から力強く抜け出して優勝。全兄に17年の菊花賞馬キセキがいる良血馬が5歳にして初の重賞タイトルをつかんだ。
また、道中でいったん後方2番手に位置を下げた3番人気のウインマイティーが大外から脚を伸ばして2着。3着には終始後方のインを進んだ10番人気のホウオウエミーズがしぶとく追い込んだ。
上位を占めたのは、いずれも序盤で無理をせず後方に控えた馬ばかり。文字通りの“追い込み決着”になったのは、1000m通過が57秒3のハイペースになったからに他ならない。
「序盤から逃げ馬3頭による競り合いとなり、想像以上のハイペースになりました。ハギノメーテルとヒヅルジョウは、どちらも逃げた時しか勝っていない馬だったので想定内でしたが、キャリア17戦で2回しか逃げていないシャーレイポピー(牝5歳、栗東・石坂公一厩舎)がこれに加わるとは思いもよりませんでした。
ただ、シャーレイポピーも逃げたときは2戦2勝の好成績を残していたので、陣営としては作戦通りだったのかもしれません。今回は2枠2番の好枠を引き当て、初めてブリンカーを装着。鞍上の藤岡康太騎手は、レース後に『今日は先手を取れればと思っていました』と明かしていたので、何が何でもハナを切りたかったんでしょう」(競馬誌ライター)
しかし、藤岡康騎手にとって誤算だったのは、ハギノメーテルの今村聖奈騎手も、ヒヅルジョウの松若風馬騎手も先輩ジョッキーに“忖度”しなかったことだろう。若手2人もハナは譲らんとばかりに強気の姿勢を見せたが、3頭はそろって早々と失速……。結果的に13頭立ての11、12、13着の下位独占という結果に終わった。
特に3角手前までハナに立っていたシャーレイポピーは、3~4コーナー途中で早くもムチが入るほど。最後の直線を向いたときは完全に脚がなく、結局ビッグリボンから4秒7差の最下位に沈んだ。
「シャーレイポピーはオープン入り後に惨敗が続いていたのですが、今回は2勝クラスを突破したばかりの格下馬も多く、最終的に単勝オッズは21.0倍の9番人気。オープン入り後の走りを考えればやや過剰人気にも感じました。
ただ、全4勝を阪神で挙げていることに加えて、鞍上の藤岡康騎手がこのレースを得意にしていることも予想以上に人気した一つの要因だったかもしれません。マーメイドSで3勝しているのは武豊騎手と藤岡康騎手だけですからね」(同)
しかし、藤岡康騎手は若手2人とともに超ハイペースを演出。この“暴走”には、元JRA騎手のあの人物も苦言を呈した。
田原成貴氏、後輩の“暴走”に苦言…
『東スポ競馬』サイト内とYouTube上で公開された「『ユニコーンS&マーメイドS』直前ライブ予想会」に出演し、レースを生解説したのは、JRA騎手として通算1112勝を挙げた田原成貴氏だ。
3頭が競り合いながら最初のコーナーを回ると「康太くん、思い切って行ったね」と予想外の展開に眼鏡を外した田原氏。「行ったらしんどいと思うだけど……」と後輩騎手に“忠告”するも、藤岡康騎手はハナを譲る気配はない。
「3(ヒヅルジョウ)、10(ハギノメーテル)が行くのは分かっているんだから、なんで控えなかったのかなー」、「あそこまで行く必要はなかった」とやや語気を強める場面もあった。
結果的に田原氏の懸念が的中すると、SNSでは「控えても結果を残している馬なんだから、今村騎手と松若騎手にお付き合いしなくても……」「何故、そこまでハナに固執した?」など、藤岡康騎手の積極的過ぎる騎乗に否定的な意見が相次いだ。
藤岡康騎手は「ペースのきつい展開になって厳しかったです」とレースを回顧。いずれにしても、シャーレイポピーとしては、初ブリンカーと絶好枠が仇になった結果ともいえるだろう。
果たして、今回初めてシャーレイポピーとコンビを組んだ藤岡康騎手に挽回の機会は与えられるのだろうか。今度は臨機応変な騎乗を心掛けたいところだ。