【帝王賞(G1)展望】世代交代へ、川田将雅クラウンプライド&武豊ノットゥルノ出陣! メイショウハリオVSテーオーケインズの王者対決に割って入るか
28日、大井競馬場では上半期のダート頂上決戦、帝王賞(G1)が行われる。
今年はJRAから7頭、地元・南関東から5頭が参戦予定。過去10年で「10-9-8-38」と圧倒的な成績を残すJRA勢が今年も上位を占める可能性が高そうだ。
年齢別では4歳馬が中央地方合わせて「5-3-1-11」と抜けているが、今年はJRAの4歳馬は2頭だけ。他の5頭はすべて6歳馬というやや偏った構成になっている。今年も4歳馬が強いのか、それとも6歳馬がベテランの意地を見せるのか……。早速レースを展望していこう。
1番人気を争うのは、メイショウハリオとテーオーケインズの2頭となりそうだ。
まず、昨年の当レースを5番人気で制したメイショウハリオ(牡6歳、栗東・岡田稲男厩舎)を見ていこう。
チュウワウィザード、オメガパフュームなどの実績馬を蹴散らした昨年は、鞍上を務めた浜中俊騎手が「直線に向くまで理想のプラン通り」と振り返ったように、1番人気のテーオーケインズを前に見ながら運ぶ理想的な展開。浜中騎手の仕掛けのタイミングもズバリとハマった会心の勝利だった。
しかし、その後はJBCクラシック(G1)で5着、東京大賞典(G1)とフェブラリーS(G1)で連続3着と3連敗。ただし、スタート直後に躓き、離れた最後方からの競馬となったフェブラリーSでは直線で豪脚を発揮するなど、マイル戦にも対応できるところを証明した。
そして迎えた前走のかしわ記念(G1)は中団後方でじっくり末脚を温存。直線で大外を回ると、シャマルやハヤブサナンデクンなど人気を集めた先行馬を難なく交わし、最後は伏兵タガノビューティーとの競り合いを制した。
着差はクビ差だったが、「交わされないなという脚色でした」と浜中騎手が話したように、着差以上の強い内容でG1・2勝目をマークしている。
前走後は短期放牧で英気を養い、帰厩後の1週前追い切りは栗東坂路で51秒8-12秒1の好時計をマークするなど、G1連勝に向けて態勢は整いつつある。連覇が叶えば、帝王賞史上初めて。4枠4番の絶好枠もゲットし、あとは無事に当日を迎えるだけだ。
昨年の当レースで1番人気を裏切り4着に敗れたのはテーオーケインズ(牡6歳、栗東・高柳大輔厩舎)。G1タイトルはメイショウハリオより1つ多い3つ獲得している。
そのうちの1つが2年前の当レースだった。その後は勝ちと負けを交互に繰り返していたが、“勝利する順番”だった今年初戦の川崎記念(G1)でウシュバテソーロに半馬身差で敗れ、この流れはストップ。続くドバイワールドC(G1)は4着に健闘したが、連敗はキャリアワーストの「3」となっている。
2度目の海外遠征となった前走を改めて振り返ると、テン乗りのO.マーフィー騎手を背に道中は中団のインを追走。直線ではいい手応えでじわじわと伸びたが、大外を強襲したウシュバテソーロの脚色には及ばなかった。それでも2着アルジールスと3着エンブレムロードとの差は僅か。大きく崩れたわけではなく、前走の内容からもこのメンバーなら力は最上位といってもいいだろう。
今回は鞍上を主戦の松山弘平騎手に戻し、昨秋のJBCクラシック以来、8か月ぶりの勝利を目指す。
6歳馬のメイショウハリオとテーオーケインズをまとめて負かすとすれば、4歳馬ながら百戦錬磨のクラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)か。
まだキャリアは10戦と浅いが、中央で4戦しているほか、地方で2戦、海外で4戦と、世界を股にかけて実績を築いている。
重賞勝ちは3歳時のUAEダービー(G2)だけ。だが、昨年のJBCクラシックとチャンピオンズC(G1)で連続2着しているように、3歳秋の時点で年長馬とも対等に渡り合っていた。
古馬となった今年は、サウジC(G1)とドバイワールドCでともに5着と堅実に駆けており、初の大井でも大きく崩れることはまずないだろう。
海外ではD.レーン騎手、国内では福永祐一騎手(現調教師)の2人が主に手綱を取っていたが、今回はテン乗りで帝王賞を過去2勝(12年ゴルトブリッツ、20年クリソベリル)している川田将雅騎手に乗り替わる。交流重賞では無類の強さを誇る鞍上だけに激走があっても驚けない。
もう1頭の4歳馬は、昨年のジャパンダートダービー(G1)を制したノットゥルノ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)。その後は5戦して2着が1回あるが、それ以外は7着以下と苦戦している。
ただし、唯一2着に好走したのが今回と同じ舞台の東京大賞典(G1)だった。G1で2戦2連対の大井なら軽視はできないだろう。鞍上はもちろん武豊騎手が務める。
プロミストウォリア(牡6歳、栗東・野中賢二厩舎)は、昨年10月の1勝クラスから目下5連勝中。2走前の東海S(G2)を重賞初挑戦で逃げ切ると、続くアンタレスS(G3)は唯一59kgを背負っての逃亡劇。前半3ハロンが35秒5とやや速い流れを自ら作り出し、最後まで後続をよせつけなかった。
ハギノアレグリアス(牡6歳、栗東・四位洋文厩舎)は、3歳秋にオープン入りしたが、屈腱炎を発症し1年半以上休養していた。復帰後は2走前の名古屋大賞典(G3)を制したほか、みやこS(G3)、東海S、平安S(G3)でいずれも2着に好走。初めてのG1でも上位に食い込む資格は十分ある。
ジュンライトボルト(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)は、デビューから長らく芝を主戦場にしていたが、昨年夏にダート路線に転向すると才能を一気に開花。3連勝でチャンピオンズCを制覇して新たなダート王に上り詰めた。しかし、活躍が期待された今年は、初戦のサウジCで7着、続くドバイワールドCで15着と立て続けに惨敗。7か月ぶりの国内レースで復活の糸口をつかみたい。
以上JRA勢7頭すべてを紹介した。一方、南関東勢の中でチャンスがあるとすれば、ライトウォーリア(牡6歳、川崎・内田勝義厩舎)だろう。
JRA所属時には太秦S(OP)勝ちがあり、南関東転入後は埼玉新聞栄冠賞(S3)と勝島王冠(S2)を連勝。昨年末の東京大賞典でも5着に健闘している。先行してスムーズに運べれば上位争いに食い込めるはずだ。
現役屈指の好メンバーがそろった今年の帝王賞。実績、頭数ともにJRAの6歳馬が上位人気を形成しそうだが、伸び盛りの4歳勢の逆転があっても全く不思議ではない。発走は28日、20時10分を予定している。