矢作芳人調教師が惚れ込む「凱旋門賞馬の全弟」がいよいよ登場!? 「新たな皇帝」を名乗る超大物がウマ娘・藤田晋オーナー「勝負の3年目」のカギ
一昨年、彗星のごとく“馬主デビュー”を遂げ、全国の競馬ファンから大きな注目を集めたサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋オーナー。競馬ファンにとっては、大ヒット競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)を手掛けるCygamesのグループのトップといった方が有名かもしれない。
そんな超大物オーナーにとって2世代目となった今年の3歳馬は、期待の大きかったチャンスザローゼスがケガで戦線を離脱するなど、今のところ重賞初制覇を飾った1年目ほどのインパクトを残すことができていない。
しかし、「本当の勝負」は今夏からデビューしている2歳世代になるはずだ。
馬主1年目は「すぐ走る馬が欲しい」と千葉サラブレッドセールや海外のセリで2歳馬(現4歳世代)を購入した経緯がある。その年のセレクトセールに参加して、2日間合計23億6700万円という“爆買い”を披露したが、1歳馬(現3歳世代)は「馬体を重視」とのことだった。
そして、満を持す形で「血統を重視した」のが今年の2歳世代である。
すでに2頭がデビューしているが、ボンドガールは好素材が集った東京新馬の開幕戦を勝利、早くも2歳女王の有力候補に名を連ねている。また、もう1頭のブシンはデビュー戦3着で未勝利戦を2着。こちらも勝ち上がりは時間の問題と好調なスタートを切った。
そして、ここ2年のセレクトセールだけで19億7000万円をつぎ込んだ今年の2歳世代の大物候補は、まだまだスタンバイしている。
中でも日本だけでなく、世界中の関係者から熱視線を集めているのが、シンエンペラー(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
藤田晋オーナー「勝負の3年目」のカギ
こちらは、矢作調教師がフランスのオーガストイヤリングセールで落札した逸材。先述したセレクトセールの落札馬ではなく、あえてこちらを上げたのは、それだけシンエンペラーのスケールが大きいからだ。
シンエンペラーの落札額は、当時のレートで約2億8000万円。これは昨年のセレクトセールで藤田オーナーが落札したどの馬よりも高額だ。それもそのはず、本馬は2020年の凱旋門賞(G1)を制したソットサスの全弟という世界的な良血馬である。
ちなみに「シンエンペラー」の馬名の意味はそのまま「真の皇帝、新しい皇帝」。これだけを見ても藤田オーナーの期待の高さがうかがえる。
父Siyouniの産駒はあまり日本で走っていないこともあって、今月の函館スプリントS(G3)で14着だったヴィズサクセスが目立つ程度。輝かしい欧州ほどの活躍には程遠い母の父Galileoと合わせて、日本の馬場適性が最大のポイントとなりそうだ。
だが、矢作調教師は『日刊スポーツ』の取材に「大いに期待している。日本競馬に適合すると思って買った」と自信を見せている。
豪州最大のG1コックスプレートや、米国の祭典ブリーダーズCで勝利を収めるなど、これまで世界でも馬場適性を鋭く見極め、数々の成功を収めてきた世界のYAHAGIの言葉だけに頼もしい。デビューは秋以降になる見込みで、最初の目標は当然日本のクラシック制覇だ。
今や、歴史に残る競馬ゲームとなった『ウマ娘』のごとく、“リアル競馬”でも歴史的な偉業を成し遂げるか。藤田オーナーの勝負の3年目に注目だ。