ダービー馬近親「希望の星」が1番人気で大惨敗…新種牡馬レイデオロが初勝利またも持ち越し
2日、福島5Rの2歳新馬戦(芝1800m)は、最後の直線で最内を突いた2番人気トレミニョンが、ゴール前の接戦をハナ差で制して優勝した。
リアルインパクト産駒は今年の2歳戦でこれが初勝利。鞍上の西村淳也騎手は「スタートから良いポジションを取ることができた。初戦としては100点満点の競馬だったと思う」と、デビュー勝ちを決めたパートナーに最高評価を与えた。
夏の福島・芝1800mでメイクデビューを勝ち上がった馬は、後にG1ホースとなるノームコアやマイネルホウオウらがいる。トレミニョンもここから2頭に続くような大出世を期待したい。
その一方、1番人気だったレイデラルース(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)とM.デムーロ騎手のコンビは、まさかの12着に惨敗した。
レイデラルースは大外16番から無難にスタートを出ると、中団馬群の外を追走する。ただデムーロ騎手の手綱は終始追っ付け気味であり、道中の行きっぷりはもうひとつに見えた。
3、4コーナーの中間では早くも手応えが怪しくなったのか、デムーロ騎手のステッキが飛んだ。だが、最後の直線に入ってからも芳しい伸びは見られず、早々に馬群に沈んでしまった。
新種牡馬レイデオロが初勝利またも持ち越し
その馬名から察せられる通り、同馬の父はレイデオロだ。現役時代に日本ダービー(G1)や天皇賞・秋(G1)を制した本馬は2020年から種付け生活をスタート。今年の牝馬二冠馬リバティアイランドやG1・3勝のタイトルホルダーなどを輩出しながら早逝したドゥラメンテに替わる、キングカメハメハの後継種牡馬として大きな期待を懸けられている。
初年度から新種牡馬37頭の中で最多を誇る196頭もの繁殖牝馬と交配したことも然ることながら、宝塚記念(G1)を勝ったマリアライト、ジャパンC(G1)を勝ったショウナンパンドラ、ヴィクトリアマイル(G1)を連覇したヴィルシーナ、エリザベス女王杯(G1)の勝ち馬ラキシス、マイル王ステルヴィオの母ラルケット、桜花賞馬ハープスターの母ヒストリックスターなど、内容面も新種牡馬としては破格のラインナップだ。
これだけを見ても新種牡馬争いどころか、今後の日本の種牡馬を担う1頭として関係者の期待が垣間見えるレイデオロだが、産駒はここまで7頭がデビューするも、まさかの全敗……。
同じ新種牡馬でありながら、すでに産駒が複数頭勝ち上がっているブリックスアンドモルタルやスワーヴリチャードに後れを取ってしまっている。
そんな中、レイデオロ産駒として今回8番目にデビューすることとなったレイデラルースは、近親に日本ダービー馬のマカヒキがいる良血。しかも調教で年上の馬を相手に互角以上の動きを見せていたが、12着と非常に厳しい結果に終わってしまった。
「私もレイデオロ産駒の初勝利を期待して観戦していたのですが、残念ながらレイデラルースはほとんど見せ場らしい見せ場を作れませんでしたね。
ただ、今日は実力というよりも、馬がまだ競馬を理解していなかったようにも見えました。小回り福島の開幕週で大外枠からのスタートも厳しかったと思います。それだけに大敗してしまったとはいえ、着差はそれほど気にする必要もないのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
実際にレースを終えたデムーロ騎手は、レイデラルースについて「まだ子供です。1回使って良くなってくれると良いです」と、まだ馬の気持ちが競馬に向かっていなかったことを敗戦理由の1つとして挙げている。
また管理する手塚調教師も戦前から「気難しいところがある」「現状ノーコントロール」などと馬にまだ幼さが残ることを語っていただけに、今回はそのウィークポイントがモロに出てしまったのかもしれない。
ただ、やはり背負っていた人気を裏切ってしまったこともあって、レース後のSNSやネット掲示板などには「1番人気なのだからもう少し頑張ってほしかった」「これは相当時間がかかりそうだな」などと、一部ファンから厳しいコメントも寄せられていたのも仕方ないだろう。
また、「レイデオロ産駒は本当に大丈夫かな」「ここで(産駒初白星を)決めてくれると思ってたのに」「10日にセレクトセールが開催されるのに不安だ」などと、種牡馬レイデオロの行く末を心配する声もチラホラ見られた。
今週の出走はレイデラルース1頭のみだったため、またも産駒のJRA初勝利は来週以降に持ち越しとなってしまったレイデオロだが、1番人気に支持されたのが産駒で初めてだったように“真打ち”はまだまだこれから。
果たして、次週こそは初Vを決められるだろうか。レイデラルースの巻き返しにも期待したい。