「前の馬が邪魔で」武豊の口から飛び出した恨み節……レジェンドを「終始ブロック」した相手と最後は共倒れ?
2日、函館競馬場で行われた10R・立待岬特別(2勝クラス、芝1200m)は、2番人気スリーアイランド(牝3歳、栗東・中竹和也厩舎)が勝利。好スタートを切ってハナを奪うと、ゴールまで一度も先頭を譲ることなく逃げ切り。前に行った馬に有利なこの日の馬場も味方してくれた。
レース後、鞍上を務めた藤岡佑介騎手は「うまくスタートが決まりました。逃げても控えても良い馬です」と、逃げにはこだわっていなかったことを明かしたが、結果的に3Rの未勝利戦よりも遅い前半3ハロン34秒7の緩いペースに落としたことも勝利につながった印象だ。
「順調に成長してくれればと思います」とパートナーの今後に言及した藤岡佑騎手が白い歯を見せたのとは対照的に恨み節を漏らしたのは、3番人気スーリールダンジュ(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)に騎乗していた武豊騎手だ。
出遅れ癖があるスーリールダンジュは、デビューからほとんどのレースで後ろからの競馬を強いられていた。ところがこの日は逃げ切ったスリーアイランド以上の絶好のスタート。先行する選択肢もあったはずだが、武騎手はこの馬の持ち味を生かすためか、いつも通りの待機策を取った。
しかし、武騎手がレース後に「展開が向きませんでした」と話したように、終始後方からの競馬では5着まで追い上げるのがやっと。メンバー最速となる上がり3ハロン34秒4の脚を繰り出すも時すでに遅しだった。
そして、武騎手が展開以外にもう1つ敗因として挙げたのが道中で不利があったことである。
「前の馬が邪魔で、不利もありました」
武騎手が言及した“前の馬”というのは、おそらくスーリールダンジュのすぐ内の7番枠から発走した4番人気テーオースパロー(牡4歳、栗東・清水久詞厩舎)のことだろう。
函館の芝1200mは向正面の奥からスタートし、3コーナーまで500m近い直線がある。スタート後、各馬が一斉に内に切れ込んでいく中、テーオースパローだけは真っすぐ前へと突き進んでいった。
テーオースパローが内に切れ込んでいかなかったのは鞍上を務めた鮫島克駿騎手の意図だったかどうかは分からない。ただ、すぐ外にいたスーリールダンジュは、このあおりを受けて一緒に外々を回される羽目になった。
3コーナーまでにようやく内に進路を取った2頭だが、どちらも後方からの競馬。武騎手は3コーナー過ぎに鮫島駿騎手を先に行かせて最後方に控えた。
そして武騎手が言及した“不利”があったのは、勝負所の3~4コーナーで外を通って進出していく際のことだろう。外からテーオースパローを交わしにかかったが、2頭は間髪入れずに2回接触。2回目の接触時には鮫島駿騎手のテーオースパローが躓く形となり、位置を下げてしまった。
「武騎手が『不利もあった』と言及したのはこの場面だったと推察されます。パトロール映像を見る限り、鮫島駿騎手の馬が内と外の馬に挟まれやや窮屈になったため、外に出そうとしたのを武騎手が蓋をする形。この時に2回ほど接触がありました。躓いたのは鮫島駿騎手のテーオースパローでしたが、武騎手のスーリールダンジュもこの接触があったため、スムーズさをやや欠く形になりました」(競馬誌ライター)
3番人気と4番人気の2頭が後方でやり合っている間に4コーナーを3番手以内で通過した3頭がワンツースリーという結果に終わったこのレース。武騎手と鮫島駿騎手は序盤の距離ロスと勝負所での接触も響いてか、最後まで上位争いには加われず、5着と7着という共倒れに終わった。