【函館2歳S(G3)展望】ロータスワンドきょうだい3頭目の函館王者へ、ロードカナロア×サクラバクシンオーの血が滾る!?

撮影:Ruriko.I

 15日、函館競馬場では函館2歳S(G3)が行われる。2021年に生まれた2歳馬が迎える最初のJRA重賞を展望していこう。

 中心になるのは、同一重賞3頭目のきょうだい制覇を狙うロータスワンド(牝2歳、栗東・中竹和也厩舎)か。

 姉ブランボヌールと兄ビアンフェが当レース勝ち馬という生粋の速攻系短距離血統で、本馬も函館初週の芝1200m戦で難なくデビュー勝ち。大外11番枠から好スタートを決めると、一度もハナを譲ることなく逃げ切ってみせた。

 鞍上を務めた藤岡佑介騎手は「この馬の兄(ビアンフェ)にも乗ったことがあって似ている部分があり、乗っていた経験がいきました」と、19年の函館2歳Sを含めてスプリント重賞を3勝した兄の姿を重ね合わせた。

 ただし、函館2歳チャンピオンに輝いた上の2頭とは異なる点もある。ビアンフェは父がキズナ、ブランボヌールは父ディープインパクトという同系統だったが、ロータスワンドの父は短距離王のロードカナロア。兄姉以上にスピードを前面に押し出した配合となっている。

 ちなみに父ロードカナロア×母父サクラバクシンオーの組み合わせは、ファストフォースやキルロードなど、むしろ晩成のスピードタイプが多い印象。本馬も完成するのは古馬になってからの可能性がありそうだ。


 スカイキャンバス(牝2歳、美浦・武井亮厩舎)は、今年の函館2歳戦の一番星を飾ったスピード馬。初戦の舞台は芝1000mだったが、好発を決めるとスピードの違いを見せほぼ馬なりでハナに立ち、そのまま押し切る強い内容だった。

 前半3ハロン34秒8のミドルペースで運んだが、3~4角で2~3番手の馬が早くも外から並びかける厳しい展開。しかし、直線に入って二の脚を利かせると、最後は後続を突き放しての2馬身半差勝利だった。

 鞍上を務めた横山武史騎手も「想像以上に強かった」「まだまだ上を目指せると思います」と手応えありの様子。前走から1ハロンの距離延長がカギにはなるが、1000mで楽にハナに立つスピードがあれば、ここでも先頭は譲らないだろう。

 過去10年の前走1000m組は、芝ダート合わせて「1-2-1-26」とイマイチだが、過去3年に限ると「1-2-1-2」。つまり、近年の傾向としては、むしろ前走で1000mを走っていたのはプラスと考えてもいいだろう。


 バスターコール(牡2歳、美浦・田村康仁厩舎)は、6月の東京・芝1400mでD.レーン騎手を背に逃げ切り勝ちを収めた。ただ楽にハナを奪ったわけではなく、レーン騎手の「ポジションを取るまでにエネルギーを使いました」というコメント通り、レース序盤にある程度脚を使っての先行策だった。

 道中も終始他馬と馬体を併せながらの競馬となり、理想的な逃げではなかった。それでも東京の長い直線でしぶとく粘り込みを図り、最後は好位から追いすがった後続をクビ差で退けた。その後は目標を函館2歳Sに定め、すでに北海道に入り、調教を積んでいる。

 前走が1400m戦だったため、スプリント戦への対応がポイントとなるが、血統的にはむしろプラスの可能性もある。母デグラーティアは7月デビューから無傷の3連勝で小倉2歳S(G3)を制覇したスピード馬だった。

 本馬も母から仕上がり早の血を受け継いでいれば、ここでも好勝負は必至だろう。鞍上にはC.ルメール騎手が配され、陣営も勝負気配を漂わせている。

 ここまで名前を挙げた3頭はいずれも1戦1勝馬だが、これが3戦目のアガシ(牡2歳、栗東・庄野靖志厩舎)にも注意が必要だろう。

 1~2戦ともに函館での競馬だったが、初戦がダート1000mで4着。続く2戦目で、芝1200mに条件を替え、見事な差し切り勝ちを収めた。

 その両方で手綱を取ったのが武豊騎手。もちろん今回も鞍上を予定している。武騎手にとっては1997年アグネスワールド以来、26年ぶりの函館2歳S勝利が懸かる。


 新種牡馬アルアインの産駒、クールベイビー(牝2歳、美浦・矢野英一厩舎)も侮れない。初戦は、函館リーディング首位をひた走る佐々木大輔騎手に導かれての勝利。再び同騎手を背に無傷の2連勝で重賞制覇を狙う。

 この他には、初戦で鮫島克駿騎手が「ハナへ行って、物見をしていました。最後まで遊びながらでした」と余力十分の勝利を飾ったコルルディ(牝2歳、栗東・高柳大輔厩舎)、初戦でそのコルルディに惜敗を喫したが、2戦目で順当に勝ち上がったナナオ(牝2歳、栗東・小栗実厩舎)、阪神・芝1200mで行われた新馬戦を2番手から抜け出して勝利したチークタイム(牝2歳、栗東・鈴木孝志厩舎)らが上位食い込みを狙う。

 2歳世代最初の重賞ウイナーとなるのは果たしてどの馬か。注目の函館2歳Sは15日、15時25分に発走を予定している。

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