安田記念(G1)ステファノスはキタサンブラック×武豊の最強タッグに「白旗宣言」!? 新天地のマイル路線で初タイトル奪取の課題は…
レース内容もスタートから最後までほぼ完璧そのもの。おそらく事前の打ち合わせ通り、序盤から積極的にポジションを取りに行ってキタサンブラックをピッタリとマークするポジション取り。人気薄のマルターズアポジーが大逃げを打つ展開の中、終始前を射程に入れながらスムーズに流れに乗れていたし、直線を向いた時点での手応えも抜群だった。
ただ、残り300mあたりでキタサンブラックを目標にスパートをかけたまでは良かったものの、そこからの末脚が意外なほど弾けなかった。いや、この馬自身はラスト3F34秒2のキレ味を使ってしっかり伸びていたのだろう。しかし、惜しむらくは相手が悪かった。前をゆくキタサンブラックに上がり34秒3の脚を使われてはどう頑張っても届かない。わずか3/4馬身の差とはいえ、見た目以上の完敗と言わざるを得ない。
仮に昨年と同じく宝塚記念に出走となれば、もう一度キタサンブラックと戦うハメになる。ステファノス自身2200mは得意とは言えないだけに、「いっそのことマイルに向かって新味が出れば…」と陣営が考えたのも納得できるところだ。
「藤原英師は馬の仕上げに関しては天下一品の腕を持っていますから、マイル参戦を選択したとなれば勝算はあるのでそう。もともと過去に同舞台の富士Sを優勝した経験もありますし、本質的には距離をこなす適性は持っていると思います。ただ、久々のマイルがG1ですからね。序盤のペースが短距離戦並に速くなることもありますし、ずっと中距離を走ってきたこの馬は追走に少なからず苦労する可能性も否定できないでしょう」(競馬記者)
たとえ距離短縮に不安があろうとも、強敵を避けてモーリス引退後の王者なきマイル路線に狙いを変更した陣営の判断は興味深い。果たしてステファノスは新天地で輝くことができるのだろうか、注目して見守ろう。