「負ける気がしません」マリアエレーナ陣営が怪気炎!過去の小倉記念で条件クリアはイクノディクタスのみ…最大の敵は「31年ぶり」の壁

マリアエレーナ 撮影:Ruriko.I

 13日に小倉競馬場で行われる小倉記念(G3)は、夏の小倉を彩るハンデ重賞。サマー2000シリーズ第3戦としても注目のレースに、連覇が懸かるマリアエレーナ(牝5、栗東・吉田直弘厩舎)が参戦を予定している。

 本馬の評価を一気に押し上げたのが昨年のこの舞台だ。15頭立てのレースで好位に取りつくと最終コーナーでは早々と2番手まで進出。最後の直線を抜群の手応えで抜け出して2着馬に5馬身差の圧勝を飾った。

 手綱を取った松山弘平騎手から「本当に楽な競馬」「本当に強かった」とパートナーを絶賛する言葉が並んだのも当然だ。3着に敗れたジェラルディーナがその後、オールカマー(G2)とエリザベス女王杯(G1)を連勝したことも、マリアエレーナの実力を証明している。

 ただ、初G1獲りを目論んだ昨年の天皇賞・秋(G1)では、岩田康誠騎手のノースブリッジが2コーナーで内側に斜行したため、進路が狭くなる致命的な不利を受けて不完全燃焼の7着に敗戦。その後も愛知杯(G3)で3着、金鯱賞(G2)で8着と精彩を欠いた中、陣営から「負ける気がしない」と強気な発言が出た大阪杯(G1)でも、持ち味を生かせないまま5着に敗れてしまった。

 巻き返しを期した次走の鳴尾記念(G3)は、積極的なポジション取りで2番手を追走したものの、逃げたフェーングロッテンを捕まえるどころか、後ろのアドマイヤハダルやワンダフルタウンにも交わされて5着と振るわなかった。

 これではいくら相性のいい小倉記念でも強気になれなさそうだが、指揮官からは再び「正直、負ける気がしません」という怪気炎が上がった。火曜に栗東のCWで追い切られたマリアエレーナは軽快なフットワークで84秒1-ラスト1F11秒3をマーク。「夏は牝馬を狙え」という競馬の格言通り、急上昇を思わせる走りだった。

最大の敵は「31年ぶり」の壁

 とはいえ、やはり気になるのはハンデ戦のために56.5キロの斤量を背負うことだ。昨年は54キロで出られたが今年は2.5キロの増量となる。『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズで1番人気の支持を集めているものの、牡馬に換算すると58.5キロと考えれば、少なからず不安が残る。

 それを裏付けるデータが過去40年の小倉記念における56.0キロ以上の斤量を背負っていた牝馬の戦績だ。確認してみたところ、31年遡った1992年に57キロでイクノディクタスが4番人気で優勝したのみ。本馬は最終的に重賞を4勝しただけでなく、翌年の安田記念(G1)でヤマニンゼファーの2着、宝塚記念(G1)でメジロマックイーンの2着に入ったほどの実力馬だった。

 小倉記念出走時にG3までしか勝利がなかったことはマリアエレーナの戦績に通じるところもあるが、秋の飛躍を目論む本馬にとっても克服したい斤量の壁となりそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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