川田将雅「絶対に勝たないといけないメンバー」…あの出世レースが“史上最低レベル”の危機?

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 先週から夏の小倉開催がスタート。開幕週から名物ハンデ重賞・小倉記念(G3)が行われるなど盛り上がりを見せた中で、とあるレースのメンバーレベルの低さが一部のファンの間で話題に挙がっていた。

 それが日曜小倉8Rで行われた2歳限定戦のフェニックス賞(OP)だ。オープン特別でありながら、発表された登録馬12頭のうちJRAで勝利を挙げているのはシカゴスティングのみ。残りは7頭の未勝利馬と地方の1勝馬4頭というラインナップ。このことについては、「実質未勝利戦」「さすがに考えるべきでは?」といった意見もあった。

 最終的には11頭立てでレースが行われ、唯一中央での勝ち鞍を持つシカゴスティングが単勝1.1倍の圧倒的支持に応えた。手綱を取った川田将雅騎手のコメントも「絶対に勝たないといけないメンバーでしたので、内容良く勝ち切れて、良い走りでした」というものだった。

 見た目は2着に3馬身差をつける完勝劇も、勝ち時計は1分10秒3となっており、これは当日に同じ芝・1200mで行われた九州産馬限定の新馬戦よりわずか0秒2速いのみ。さらに前日の同条件の新馬戦と比較してみても、6Rを勝ったセイウンデセオは今村聖奈騎手の3キロ減の恩恵はあったとはいえ1分9秒1を叩き出しており、5Rの九州産馬限定戦でも1分10秒1が出ていることから、オープン特別の一戦としてはかなり物足りないレベルだったことがわかる。

近年は「3年連続重賞ウィナー輩出」という離れ業

 フェニックス賞と言えば、2019年の勝ち馬・マイネルグリットがこのレースでデビュー2連勝を飾ったのち、小倉2歳S(G3)も制して3連勝を達成。さらに2020年の勝ち馬・ヨカヨカも、同レースでの勝利から1年後に北九州記念(G3)を制した。

 そして、2021年の勝ち馬がナムラクレア。同馬は新馬戦で3着に敗れながらもフェニックス賞を制すると、続く小倉2歳Sを勝って重賞初制覇。その後も函館スプリントS(G3)とシルクロードS(G3)を勝ってここまで重賞3勝をマークしている。

 近年の「3年連続重賞ウィナー輩出」という離れ業だけでなく、古くは2005年のフェブラリーS(G1)を制したメイショウボーラーの名前も歴代の勝ち馬の欄に刻まれているように、小倉の“隠れ出世レース”として注目を浴びることも多かった。

 ところが、今年のレースレベルに関して疑問符がつくということは上でも触れた通り。今年の勝ち時計1分10秒3より遅いタイムを探してみると、ナムラクレアが勝利した2021年に1分10秒8という記録が見つかるものの、この時は不良馬場での開催だった。

 良馬場に限れば過去25年で見ても最も遅いタイムとなっており、今年よりも遅い勝ち時計となると、マヤノカプリースが1分10秒9で勝利した1995年までさかのぼる。

 メンバーを見ても、数字を見ても“史上最低レベル”の危機が囁かれる今年のフェニックス賞。この中から後の重賞勝ち馬は現れるのか。まずは3馬身差で快勝したシカゴスティングに、不名誉なレッテルを剥がすような活躍を期待したい。

GJ 編集部

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