川田将雅「久々で動き切れなかった」単勝1.7倍の圧倒的支持も直線急失速…ダービー候補とも呼ばれた「大物」がラスト一冠に暗雲
クラシック候補の一角として期待された素質馬が、まさかの大惨敗だ。
13日の小倉10R・博多S(3勝クラス)で、10ヶ月ぶりのカムバックを果たしたチャンスザローゼス(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)。エピファネイア産駒で近親にローズキングダムやスタニングローズがいる血統背景、一昨年のセレクトセールにて2億円超えで取引されるなど、デビュー前から評判の高かった1頭だ。
本馬は昨年10月に開催されたアイビーS(L)を2馬身差で楽勝。このレースを前年に制したのは後のダービー馬ドウデュースであり、勝ちタイムは同馬のそれを1秒8も上回っていた。チャンスザローゼスも一部ファンの間で「ダービー馬候補」と囁かれるようになったのもある意味当然だろう。
だがその後は順調さを欠いてしまい、長期休養に入ることとなる。春クラシックを棒に振ってしまったことは関係者にとってはもちろんのこと、ファンにとっても残念極まりないことだった。
そんな大器がついにターフに帰ってきた。今回は2歳10月以来のレースとなる上、初の古馬との対戦。当日は14キロの馬体増とかなり厳しい条件が揃ったが、引き続き主戦の川田将雅騎手が手綱を取ることと、2歳時に見せた走りの内容からか単勝オッズ1.7倍という圧倒時支持が集まっていた。
ダービー候補とも呼ばれた「大物」がラスト一冠に暗雲
「結果次第では牡馬クラシック最終戦である菊花賞(G1)への参戦も期待できただけに、チャンスザローゼスの走りに大いに関心が寄せられたのは当然でしょう。オッズを見ると休み明けとはいえ、ここは問題なく通過してくれると思っていたファンも多かったと思われます。
ただレース前から発汗が異様に目立っていただけに、個人的には少々嫌な予感もしました」(競馬誌ライター)
スタートを五分に決めたチャンスザローゼスは、アイビーSのときと同様に持っていかれるような手応えでハナへ。1000m通過は58秒5と速かったが、開幕週の馬場状態とこの馬の能力を考えれば、押し切ってくれると信じていたファンも多かったに違いない。
だが4コーナー手前で早くも手応えが怪しくなったのか、川田騎手の手が激しく動くこととなる。直線に入り2番手の馬に交わされると万事休す。最後は馬群に沈んでいき9着に敗れた。
期待を大きく裏切る結果となっただけに、レース後のSNSやネット掲示板などには「いくらなんでも負けすぎでは」「休み明けとはいえもう少し走ってほしかった」といった、困惑とも取れるコメントが投稿されていた。
芝1800mで行われた今回の一戦でややコントロールに苦労していたように見えただけに、芝3000mの長丁場で争われるラスト一冠への挑戦は、かなり雲行きが怪しくなったといえるかもしれない。
「厳しい結果に終わったチャンスザローゼスですが、勝ち馬のダンテスヴューは昨年のきさらぎ賞(G3)で2着。3着だったタガノパッションも一昨年のオークス(G1)で4着に入った実力馬です。博多Sは条件戦だったとはいえ、メンバーがなかなか揃っていたことも苦杯を舐めた理由の1つに挙げられるかもしれません。
ただ次走はまだ明確に決まっていないようですが、この一戦はチャンスザローゼスにとって良いガス抜きになったと思います。次はガラッと一変も期待できそうです」(同)
主戦の川田騎手もレース後「久々の競馬で動き切れませんでした。これでまた変わってくると思います」と、次戦に向けて上積みが期待できるコメントを残した。今回は久々のレースだっただけに、もしかすると敗戦もある程度は想定内だったのかもしれない。
キャリアで初めて連対を外す結果となってしまったチャンスザローゼスだが、2歳時に見せた能力は間違いなく本物だったはずだ。次こそ本領発揮となるだろうか。