G1・34勝ジョッキーが泥沼「62連敗」…今年2度目「自己ワースト」更新も、見えた「復活のシナリオ」
かつてG1請負人とまで呼ばれた男が窮地に陥っている。JRA・G1通算34勝を誇るM.デムーロ騎手のことである。
C.ルメール騎手とともに一時代を築き、「デムルメ」と呼ばれたのはつい数年前のことだ。JRAの騎手免許取得後は、リーディング争いの常連でもあったが、数年前から徐々に騎乗馬の質が低下。2020年にはリーディングトップ10から陥落し、今年は同26位と苦しんでいる(8月20日現在)。
そんなデムーロ騎手が最後に白星を挙げたのは7月16日の福島3R。それ以降は先週末まで「0-10-8-44」の成績で、2~3着は数多くあるものの、目下62連敗中である。今年1月から2月にかけて記録した55連敗の自己ワーストを更新中という、まさに泥沼状態に陥っている。
先週末は、日曜の小倉5R・2歳新馬でジンセイ(牡2歳、栗東・庄野靖志厩舎)とのコンビで勝利を狙ったが、馬場入場後に他の馬に蹴られてしまい左膝蓋部挫創を発症。あえなく競走除外の憂き目に遭った。さらに6番人気ロコポルティ(牡5歳、栗東・西園正都厩舎)との初コンビで臨んだ同日10Rの薩摩S(3勝クラス)は、最後の直線で大外を急追するも先に抜け出したフルヴォートに僅かハナ差及ばず2着に敗れた。
レース後、デムーロ騎手が「首の上げ下げで運がありませんでした」と語ったように、今回の大型連敗中は、勝ち運にも見放されている印象だ。
今年2度目となる自身の連敗記録を更新中のデムーロ騎手だが、実は復活のシナリオを着々と描き、実現間近だという。
“腕利き”エージェントとの新たなコンビでV字回復!?
「つい先日、デムーロ騎手は自身のエージェントを関東の川島康孝氏から関西の甲斐弘治氏へと変更しました。生活拠点を関西に置いているデムーロ騎手ですが、これまで関東所属の川島氏が騎乗依頼をさばいていたため、競馬は関東を主戦場にするというミスマッチな状況が生じていました。
ところが今回のエージェント変更で、今後は競馬の拠点も関西に戻すことが予想されます。先週末も土日ともに(関西圏の)小倉で全て関西馬に騎乗していたのがその証です。普段の調教から騎乗馬と綿密にコンタクトを取れるようになるのもデムーロ騎手にとっては大きな追い風になるでしょうね」(競馬誌ライター)
デムーロ騎手が新たに契約を結んだ甲斐氏といえば、今年6月まで吉田隼人騎手のエージェントを担当していた人物だ。吉田隼騎手は美浦所属でありながら、主戦場を関西に移して以降にブレイクを果たしたが、その陰に甲斐氏の存在があったのは言うまでもないだろう。
そんな“腕利き”エージェントとの新たなコンビでデムーロ騎手はV字回復を遂げることができるのか。まずは今週末に連敗を止めておきたいところ。そして日曜にはヴァンヴィーヴ(牡2歳、栗東・牧浦充徳厩舎)と新潟2歳S(G3)に臨むことが決まっている。
今回の大型連敗は嵐の前の静けさとなるのか。今後のデムーロ騎手の動向には要注目だ。