「単勝1.4倍」も秋華賞(G1)母娘制覇に黄色信号…ロードカナロアなど名馬輩出の「名門」にとっても手痛い敗戦か
26日の小倉10Rに行われた西海賞(2勝クラス・牝馬限定)は、好位を進んだ2番人気ピピオラが優勝。ゴール前で5頭がもつれる混戦をアタマ差で制し、未勝利戦から一気の3連勝を達成した。
騎乗した藤岡康太騎手はレース後、「最後は苦しくなりながらも差し切ってくれた」「力があるところを見せてくれました」と、接戦を僅差でものにしたパートナーを褒め称えた。
ピピオラを管理する武幸四郎調教師も「よく頑張ってくれた」と、勝負根性を評価。次走は未定のようだが、今回と同じ芝2000mで開催される10月の秋華賞(G1)に駒を進めてくれば面白い存在になるかもしれない。
勝ち馬が秋競馬へ展望を開いた一方で、1番人気に推されていたミッキーゴージャス(牝3歳、栗東・安田隆行厩舎)と斎藤新騎手のコンビは惜しくも5着に敗れた。
秋華賞(G1)母娘制覇に黄色信号…
同馬の母は、2015年の牝馬二冠を制したミッキークイーン。父も宝塚記念(G1)優勝馬のミッキーロケットであることから、本馬を所有する野田みづきオーナーゆかりの、まさに「ゴージャス」といえる配合馬である。
その血統背景からも注目を集めた今春は、デビュー2連勝でオークス(G1)まで駒を進めたものの、キャリアの浅さも露呈して14着に大敗。ただ、手綱を取っていた戸崎圭太騎手はレース後「これからさらに良くなってくる」と、今後の成長を期待させるコメントを残していた。
約4ヶ月ぶりとなった今回は、オークスからプラス8キロと馬体に成長の跡が見られた。また小倉・芝2000mはデビュー戦で5馬身差の圧勝を決めた舞台でもあることから、単勝1.4倍の圧倒的支持を集めることになったのも当然だろう。
ミッキーゴージャスは8枠9番からスタートすると、道中はちょうど中団馬群の外目を気分良さそうに追走する。しかし、3~4コーナー中間から鞍上の手が激しく動き始めると、最後の直線は外から差を詰めたのだが、最後は追い比べで後れを取り5着に敗れた。
「前半は悪くなさそうでしたが、3コーナーを過ぎると一気に手応えが怪しくなってしまいました。ミッキーゴージャスはデビュー2戦を重、稍重の馬場状態で連勝。良馬場だった今回は斎藤騎手がレース後、『今日は上がりが速く3、4コーナーで忙しくなりました』とコメントしていました。それでも差を詰めてきたのですが、接戦となった最後は少々運もなかったでしょうか。
なお圧倒的人気を背負っていたミッキーゴージャスが馬券圏外に敗れた関係もあって、勝ち馬のピピオラは単勝と複勝の配当がともに410円になるという珍しい現象も起きています」(競馬誌ライター)
ミッキーゴージャスはまだ2勝クラスの身だけに、ここで結果を出して賞金を加算しておきたかったところだろう。しかしまさかの取りこぼしとなり、ミッキークイーンと母娘制覇の期待がかかるラスト一冠・秋華賞への出走も暗雲が漂うこととなった。
なおミッキーゴージャスを管理する安田隆調教師も、来年2月一杯で定年を迎える。ロードカナロアやトランセンドなど数々の名馬を送り出してきた師もG1に挑戦できる機会が少なくなってきているだけに、今回は名門にとっても手痛い敗戦となってしまったかもしれない。
ただ斎藤騎手はレース後、ミッキーゴージャスについて「まだキャリアは浅く、これから体とともに成長してくれたらよいと思います」と前向きなコメントを残した。秋華賞までまだ時間があるだけに、トライアル等に出走してくるようであれば巻き返しに期待したい。