【新潟記念(G3)展望】良血サリエラに「アクシデント」も出走に踏み切れば最有力!追うのは2頭のダービー5着馬
9月3日、新潟競馬場では夏競馬のラストを飾るハンデ重賞、新潟記念(G3)が行われる。過去10年の勝ち馬の脚質を見ると、逃げ0勝、先行2勝、差し5勝、追い込み3勝と、新潟の長い直線勝負に懸ける馬の活躍が目立つ。今年も差し追い込みタイプが台頭するのか。早速展望していこう。
前走の目黒記念(G2)で4角11番手から3着に追い込んだサリエラ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)に重賞初制覇の期待が懸かる。
兄姉に朝日杯フューチュリティS(G1)勝ち馬のサリオス、有馬記念(G1)2着のサラキアがいる超良血牝馬のサリエラ。体質の問題で、2歳秋のデビューから間隔を空けながら使われ、今回がまだキャリア6戦目である。
2戦2勝で臨んだ昨秋のローズS(G2)でアートハウスの2着に入り、賞金加算に成功すると、古馬相手となった白富士S(L)ではドーブネ以下に完勝を収めるなど、牡馬を相手に非凡な才能を見せた。
いつも通り間隔を空けて臨んだ前走・目黒記念は初の長距離戦(2500m)だったが、堂々1番人気に支持されたものの直線で伸びきれず3着まで。道中同じようなポジションにいたヒートオンビートと逃げたディアスティマを交わせなかった。
今回は距離を2000mに戻して巻き返しを図りたいところだが、1週前追い切りでやや順調さを欠く場面があったようだ。
レース2週前に放牧先から新潟競馬場に直接入厩したサリエラ。新潟ダートコースで1週前追い切りを敢行したが、管理する国枝師は『スポーツ報知』の取材に対し、「左前脚を落鉄したし、少し暑さの影響もあって、もう一つ動きがピリッとしなかった」と辛口採点。さらに落鉄の影響で、ザ石の症状も見られたという。
これまで大事に使われてきている馬だけに、陣営が出走に踏み切るのか、その判断に注目が集まる。もし出走するなら、最終追い切りの動きは要注目だろう。
そんなサリエラを追いかけるのは、直近2回の日本ダービー(G1)で5着に入った2頭である。1頭目は今年のダービー5着馬ノッキングポイント(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。
母がオークス(G1)2着のチェッキーノという良血で、1戦1勝で臨んだ昨秋のサウジアラビアロイヤルC(G3)では単勝1.4倍の断然人気に推された。しかし、そのレースは末脚不発で4着に敗れ、さらに次走のジュニアC(L)でも6着。初戦快勝後は“クラシック候補”とまでいわれた素質馬がまさかの連敗を喫し、評価を大きく下げた。
それでも2月に自己条件を勝ち上がると、続く毎日杯(G3)でシーズンリッチの2着に好走。ダービーに駒を進めた。世代の頂点を決める一戦では15番人気という伏兵だったが、低評価を覆す走りで5着に好走し、同馬への評価も再び上昇中だ。
今回は初めて古馬との対戦となるが、重賞未勝利の3歳馬ならハンデにはかなり恵まれるはず。軽量を味方に母から譲り受けた自慢の瞬発力を披露できるか。
もう1頭のダービー5着馬は、昨年の青葉賞(G2)勝ち馬でもあるプラダリア(牡4歳、栗東・池添学厩舎)だ。
昨年の秋は神戸新聞杯(G2)8着、菊花賞(G1)7着とやや不本意な結果に終わったが、古馬になって日経新春杯(G2)と京都記念(G2)で連続3着に好走。3か月半の休養を挟んで、目黒記念で5着すると、続く宝塚記念(G1)では16番人気ながら6着と、堅実な走りを続けている。
前走は荒れた内目の馬場を走らされた分、最後は詰めが甘くなったが、勝ったイクイノックスとは0秒4差。G3のメンバーが相手なら勝ち切っても全く不思議ではない。前走後すぐに目標をここに設定。狙うのは1年4か月ぶりの勝利だけだ。
マイネルウィルトス(牡7歳、栗東・宮徹厩舎)は、重賞勝ちこそないものの、G2とG3で2着が3度ある。前走・函館記念(G3)はちょうど1年ぶりの実戦だったが、見せ場たっぷりの4着に好走。ひと叩きされ、上昇ムードで迎えることになりそうだ。
21年には、今回と同じ新潟・芝2000mで開催された福島民報杯(L)を完勝。降雨の影響でかなり特殊な馬場となり、2着に1秒8差の大差勝ちを収めた。今回も馬場が大幅に悪化するようなら勝機も出てくるだろう。
イクスプロージョン(牡5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は、全5勝を左回りコースで挙げている現役屈指のサウスポー。この馬も道悪実績があり、一雨欲しいところ。今回は戸崎圭太騎手との新コンビを予定している。
1年前は1勝クラスを勝ちあぐねていたバラジ(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)は、昨秋以降に急成長。昨年10月から今年3月の間に4戦3勝の成績を残し、一気にオープン入りを果たした。
昇級後はメトロポリタンS(L)と目黒記念で連続6着。クラス慣れが見込める今回は4戦2勝、2着2回の新潟コースで大駆けがあってもおかしくない。
この他には、19年の当レース覇者で、9番人気だった昨年も2着に好走したユーキャンスマイル(牡8歳、栗東・友道康夫厩舎)、20年の当レース覇者ブラヴァス(牡7歳、栗東・友道康夫厩舎)の同厩2頭のほか、19年の菊花賞2着馬サトノルークス(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎)といった古豪も出走を予定している。
最終追い切りで“アクシデント”に見舞われたサリエラが出走に踏み切り、難なく勝利を手にするのか。それとも実績十分の牡馬勢が意地を見せるのか。注目の新潟記念は9月3日、15時45分に発走を予定している。