マルゼンスキーを最後まで苦しめたクラシック候補の記憶…ソダシ、ジャングルポケットら輩出した札幌2歳S、武豊ガイアメンテに連勝の期待

 今週末から長月の9月。そして今年の夏競馬も幕を降ろすが、夏休みも終わりチケットが安くなった札幌訪問の大チャーンス!!

 2日(土)に最終便で飛び、4日(月)の始発便で会社直行なら最安値でマイレージにも空席有り。ホテルが高いという人は札幌駅から小樽行きに乗って6駅目、約15分の稲積公園駅近くに「ていね温泉ほのか」という24時間営業のスーパー銭湯がある。

 男女別の「お休み処」もあり、深夜料金含め3100円ぽっきり(土日祝)の上に天然温泉でサウナも快適。朝風呂でサッパリした後、札幌競馬場最寄りの桑園ヘは5駅戻るだけ。すぐ隣には北海道大学の広大なキャンパスが広がる。

 2014年に改修されとても奇麗で、何といっても馬との距離が近い!ターフサイドシートではラチ下から観戦できるド迫力!名物グルメは名代牛めしのホルモン煮込み、布袋のザンギ…書いているだけで涎が出てきた。

 そんな札幌競馬場で2日(土)に行われるのが、第58回札幌2歳S(G3)。歴代優勝馬にはジオグリフ、ソダシ、ロジユニヴァース、アドマイヤムーン、ジャングルポケットら後のG1馬やビワハイジ(ブエナビスタの母)、スカーレットブーケ(ダイワメジャー&スカーレット兄妹の母)ら、名繁殖牝馬を輩出した大出世レースである。

 思い出の1頭を挙げるとすれば、まだダート時代、レース名も北海道3歳Sだった1976年、第11回の優勝馬ヒシスピードだ。

 父は快速で鳴らした内国産のヒシマサヒデ(安田記念など重賞3勝)。期待を込めスピードと名付けられた男の子は2戦目の新馬戦(当時は1開催中なら何度も新馬戦に出走できた)ダート1000mをダービージョッキー小島太を背に9馬身差の圧勝。続いて挑んだのが未来の優駿が集うこの重賞。ヒシスピードはここでも快速を披露、2着ソーウンムサシに6馬身差、レコードのおまけつきで快勝した。そして2走後に選んだ府中3歳Sが“日本競馬史に残る大一番”となるのだ。

 ここに新馬を2秒差の大差、2戦目も9馬身差楽勝の怪物マルゼンスキーが出走してきた。持込馬ゆえ当時は出られるレース(マル混)が限られていた。他陣営は恐れをなし、たった5頭立てでゲートは開き、単勝1.1倍のスーパーカーがハナを奪い、悠然とレースを運ぶ。ところが4コーナーを回ると単勝6.7倍のヒシスピードが猛然と迫り直線半ばでついに先頭に立つ。慌てたマルゼンスキーが差し返すもヒシは譲らず2頭同体のままゴールへ。写真判定の末ハナ差で外車の怪物に凱歌が上がった。

 生涯8戦8勝、日本競馬史上最強馬との声もあるマルゼンスキーをただ1度ではあるが苦しめたヒシスピードはもっと讃えられていい。彼は暮れの朝日杯3歳Sでスーパーカーと再戦するも2.2秒差の2着。翌年夏、結果的にマルゼンスキー最後のレースとなった札幌・短距離Sでも10馬身差の2着。生涯、スーパー外車の引き立て役を演じた形の国産車ヒシスピードだが、明け4歳時には重賞の京成杯、東京4歳Sを連勝し皐月賞は1番人気。栄光をつかめる立場にいたことは皆さま、記憶にとどめてやってほしい。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。先週の新潟2歳S(G3)と同様、対戦データがほとんどない若駒同士。“やってみないとわからない”と言っては身も蓋もないが、去年が1番人気ドゥーラ→6番人気ドゥアイズ、一昨年が1番人気ジオグリフ→4番人気アスクワイルドモア、3年前が2番人気ソダシ→5番人気ユーバーレーベンで1番人気バスラットレオンが3着。「人気馬には逆らわず」で、ここは大物との評判も高い武豊騎手のガイアメンテの頭から2~6番人気への馬単でレースを楽しもう。

 ただ前走で同じ札幌1800mの新馬を逃げて上がり34秒5、0.7秒差で圧勝したパワーホールだけへは馬単裏表か馬連で厚めに。ガイアメンテには決して引き立て役ではなく父・ドゥラメンテを超える主役の道を堂々と歩んでほしいと願うばかりだ。

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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