C.ルメール「牡馬クラシックの最有力候補」がヴェールを脱ぐ、「1口300万円」の超良血がいよいよ初陣
夏の新潟開催の最終日となる9月3日、噂の超大物候補がいよいよデビュー戦を迎える。名牝アエロリットの初仔コンドライト(牡2歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)である。
ソダシと同じくクロフネ産駒の母アエロリットは、2017年のNHKマイルC(G1)を優勝。その後も安田記念(G1)で2年連続2着に入るなど、マイル路線を中心に5歳暮れまで活躍した名牝だった。G1・9勝馬アーモンドアイに先着した経験も持つなど、近年の牝馬の中で屈指のスピードを誇ったといっても過言ではない。
そして父は牡馬二冠馬ドゥラメンテだ。惜しくも一昨年に他界してしまったが、今年も春の牝馬二冠を達成したリバティアイランドなどを輩出しているトップサイヤーだけに、G1馬の両親から生まれたコンドライトは超のつく良血馬といえるかもしれない。
「1口300万円」の超良血がいよいよ初陣
そんなコンドライトは父・母と同じくサンデーレーシングが所有。セレクトセールへの上場はなかったものの、募集価格は1口300万円×40口の総額1億2000万円という高価格。これは同クラブの2歳世代において、シャフリヤールとアルアインの半弟であるシャハザマーンに次ぐ2位の評価である。
先述の通り、アエロリットはまだ繁殖実績がないにもかかわらず、初仔がすでにダービー馬を輩出しているドバイマジェスティと遜色のない価格設定となっていることからも、関係者の期待値の高さが窺えるだろう。
現役時代の母を管理した菊沢調教師はコンドライトについて、『サンケイスポーツ』の取材に「四肢の可動域の大きさは母譲り」「手前とかも自分で勝手に変えてくれます。優秀な子ですよ」とべた褒め。鞍上にはC.ルメール騎手を配してきたことからも、ここは確勝を期してきたとみて間違いない。
「コンドライトがデビューを予定している新潟・芝1800mですが、このレースは国枝栄厩舎のロクシアスも出走を予定していますね。エピファネイア産駒のこの馬も関係者からの評判が高いため、当日は一騎打ちとなるかもしれません」(競馬誌ライター)
またコンドライトの手綱を取るルメール騎手も、ここは気合いの入る一戦となるか。
今年の2歳戦ですでに9勝を挙げている同騎手。来年のクラシックへ向けて視界良好かと思いきや、実は牡馬での新馬戦勝ち鞍はアマンテビアンコの1つしかない。それも東京のダート1400mである。同馬は次走もダートのプラタナス賞(1勝クラス)を予定しているため、コンビでクラシック参戦はいささか考えづらい。
またルメール騎手は今週土曜の札幌2歳S(G3)でウールデュボヌールに騎乗を予定しているが、同馬は初戦で川田将雅騎手が跨っていた馬である。結果にかかわらず、今後も乗り続けられるかどうか不透明といえる。
牝馬のお手馬はレガレイラやガルサブランカ、チェルヴィニアなど豊富なのだが、実は牡馬路線の持ち駒が少ないのである。それだけに、牡馬のクラシックを狙えそうなコンドライトへの期待は自ずと大きくなるはずだ。
ちなみにルメール騎手と菊沢厩舎は今年ここまでコンビが一度もない。それどころか同厩舎が開業した2011年から数えてもわずか9回しかないというレアケースなのだが、実は【3-3-0-3】連対率66.6%という好成績を誇っている。隠れた名コンビで挑むコンドライトの初戦に要注目だ。