武豊「コンビ解消」想定内の天皇賞・秋(G1)…ドウデュース断然ムード濃厚でも不気味、「相性がいいは不本意」川田将雅に垣間見たトップジョッキーのプライド

ドウデュース 撮影:Ruriko.I

 今週末の開催を以て夏競馬も終了。中山と阪神へと舞台が替わる10日から秋競馬がスタートする。

 この時期からは、ラスト一冠を占う3歳世代のトライアルやG1を視野に入れたステップレースも目白押し。トップクラスの馬たちが続々と復帰戦を迎えるだけに、競馬ファンの注目度も高くなるだろう。

 中でも今年最もハイレベルのメンバーが集結すると期待されているのは、ジャパンC(G1、東京・11月26日)で間違いない。

 現役世界最強といわれるイクイノックスと本馬を日本ダービー(G1)で負かしたドウデュースの直接対決が濃厚と考えられており、まさかの競走中止となった天皇賞・春(G1)から巻き返しを狙うタイトルホルダーも参戦を表明。これらに加えて、春の牝馬二冠を達成したリバティアイランドも直行する秋華賞(G1)の次走としてジャパンCが選択肢の一つに入りそうだ。

 世代と性別を超えた最強馬対決が実現するようなら、古馬最強のアーモンドアイと無敗の三冠馬コントレイルとデアリングタクトが顔を揃えた2020年に匹敵する好レースとなるのではないか。

 人気の一角を担うドウデュースは、盤石の態勢でイクイノックスを迎え撃ちたいだけに前哨戦となる天皇賞・秋(G1)は負けられない一戦となる。主戦の武豊騎手は、ジャックドールを大阪杯(G1)でG1初勝利に導いたとはいえ、鞍上問題の避けられなかった天皇賞・秋での乗り替わりは、おそらく陣営も想定内だったはずだ。

 そんなドウデュース陣営にとって、不気味な存在として急浮上したのが、先日の札幌記念(G2)を優勝したプログノーシスと川田将雅騎手のコンビである。

 雨の影響でパワーとスタミナを求められる特殊な馬場を苦にせず、強敵相手に4馬身の差をつけて突き抜ける圧巻のパフォーマンスを披露。すでにG1級と噂されるポテンシャルの高さを証明してみせた。同レースで昨年との連覇を狙ったジャックドールに騎乗して6着に敗れた武豊騎手も警戒すべき相手と感じたに違いない。

 また、鞍上の川田将雅騎手も天皇賞・秋に向けて確かな手応えを掴んだだろう。

 何しろ川田騎手がプログノーシスの手綱を取ったレースは6戦全勝。これに対し、他の騎手が騎乗した場合は4連敗と対照的であり、ここまで来ると「川田専用機」といっても過言ではない。

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 その一方で、気になったのは、川田騎手が『netkeiba.com』で連載している「VOICE(月刊 川田将雅)」で語っていた内容だ。

 詳細については引用元のコラムをご覧いただきたいのだが、24日に公開された【札幌記念回顧】にて、ファンの一部で「川田専用機」といわれていると伝えたインタビュアーの問いに、その表現はともかく、6戦全勝のことを「相性がいい」と評されることは「本意ではない」と回答していた。

 勿論、コラム内で札幌記念の川田騎手が、決して万全の状態とは言い切れなかった返し馬の感触や道中のコース取り、プログノーシスのリズムを重視したポジションを挙げるタイミングなどを意識したレースの組み立てなどが、結果として圧勝劇へと繋がったと振り返っていた。

 ただ、勝負どころでの絶妙な進路取りについても「企業秘密です(笑)」と煙に巻いたように、そこには「自分が手綱を取ってからこそ」というトップジョッキーのプライドが垣間見えた。プログノーシスが強い馬であることは間違いないが、他の騎手で負けて川田騎手で負けていないという現実が説得力を増す。

 戦前の下馬評では武豊騎手とドウデュースのコンビで断然ムードが濃厚な天皇賞・秋とはいえ、札幌記念の勝利を「胸を張って良い内容」「秋に走る時に楽しみにして頂ければ」と振り返った川田騎手の言葉には自信から確信へのステップアップを感じられた。

 答えが出る10月29日の決戦を楽しみに待ちたい。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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