イクイノックスと「双璧をなした逸材」が待望の戦列復帰!C.ルメールも変わらぬ信頼…「新しいグランアレグリア」が久々の美酒

イクイノックス 撮影:Ruriko.I

 この秋、ジャパンC(G1、東京・11月26日)を最大目標に調整されているイクイノックス(牡4、美浦・木村哲也厩舎)。

 昨春のクラシック二冠は惜敗が続いたが、古馬相手に天皇賞・秋(G1)を制すると、破竹の勢いでG1を4連勝。「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で世界1位を獲得した本馬は、いまや日本が世界に誇る現役最強馬だ。

 これから始まる秋のG1戦線の主役と目される存在だが、デビュー当初にこのイクイノックスと双璧をなすほど、高く評価されていた馬を覚えているだろうか。

ラスール

 その馬とは、ラスール(牝4、美浦・宮田敬介厩舎)のことである。

「新しいグランアレグリア」が久々の美酒

 こちらもイクイノックスと同じくシルクレーシング所有のキタサンブラック産駒でノーザンファームの生産馬だ。1口8万円の500口という募集価格までイクイノックスと完全に一致。2年前の10月東京で衝撃的なデビュー勝ちを決めた際には、手綱を取ったC.ルメール騎手も「新しいグランアレグリアですね」と絶賛したほどだった。

 数多くのG1馬の背中を知る名手が、デビュー戦を勝ったばかりの馬にG1・6勝をした女傑の名前を引き合いに出したのだから、ラスールがクラシック候補と期待されたのも無理はない。

 しかし、2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G2)を圧勝してクラシックに駒を進めたイクイノックスに対し、ラスールは年明けのシンザン記念(G3)で断然人気を裏切って7着に敗戦。次走の1勝クラスを難なく制したものの、フローラS(G2)で6着に敗れた後に骨折が判明。そこから長期にわたる休養を強いられることになってしまった。

 デビュー当時の評価を思えば、大きく後れを取った感のあるラスールだが、久々にターフに姿を見せたのが、3日に行われた日曜新潟の9R飯豊特別(2勝クラス)だ。

 13頭立ての芝1400m戦を2番手から楽に抜け出し、ここではモノが違うといわんばかりの大楽勝。2着馬に3馬身半差をつける危なげのない内容だった。

「1年4ヶ月ぶりでしたが、パワーアップしていましたし、メンタルも強くなっていました。競馬は完璧。マイルまでなら重賞レベルです」

 復帰戦の勝利を振り返ったルメール騎手のコメントからも、「重賞レベル」という言葉が含まれていたように、パートナーへの評価に変わりない。当日の馬体重は休養前から28キロ増えていたが太目感はなし。中間の追い切りで好時計を連発していたことを思えば成長分と見ていいだろう。

 この日のメイン新潟記念(G3)は、1番人気のサリエラで7着に敗れたルメール騎手だが、“グランアレグリア2世”の復帰は一番の朗報となったのではないか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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