戦前から武豊と岡部幸雄が舌戦も「世紀の一戦」はあっけない幕切れ…菊花賞(G1)で「31年ぶり」にトウカイテイオーVSメジロマックイーンの再現あるか
18日に中山競馬場で行われたセントライト記念(G2)はレーベンスティール(牡3、美浦・田中博康厩舎)が、大本命に支持されていたソールオリエンスに1馬身と3/4差を付けて勝利した。
鞍上のJ.モレイラ騎手が「特別な馬になっていく可能性が非常に高いです」と絶賛したレーベンスティールは、母の父にトウカイテイオーを持つ血統。今回の勝利はトウカイテイオーの孫としてもJRA重賞制覇となった。
気になる次走について、馬主のキャロットファームは「レース後の様子を見てから」と明言を避けるも「母系にトウカイテイオーやリアルシャダイがいるところを見ても距離は十分持つ」と菊本番に向けて言葉に含みを持たせた。21日にはリフレッシュを図るためノーザンファーム天栄に放牧に出されている。
24日には、最後のトライアル神戸新聞杯(G2)が行われるわけだが、レーベンスティールのセントライト記念優勝を踏まえた上で注目したいのは、ナイトインロンドン(牡3、美浦・大竹正博厩舎)だ。こちらは現在、未勝利→1勝クラス→2勝クラスと3連勝中の上がり馬である。
22日現在、『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、ハーツコンチェルト、ファントムシーフ、サトノグランツに続く4番手の評価。注目の前哨戦で権利を取って本番に殴り込みをかけたいところだ。
ちなみになぜ先ほどレーベンスティールの勝利に触れたかというと、これら2頭の血統に競馬ファンのロマンがあるからに他ならない。
実はレーベンスティールの母父にトウカイテイオー、ナイトインロンドンの母父にメジロマックイーンの名がある。もし孫の2頭が菊花賞(G1)で対決するようなら、孫の代で日本競馬史に残る「世紀の一戦」といわれた1992年の天皇賞・春(G1)のリベンジマッチの意味合いも含まれる。
「世紀の一戦」はあっけない幕切れ…
当時、7戦無敗の二冠馬トウカイテイオーと天皇賞・春の連覇が懸かったメジロマックイーンが初顔合わせとなったのが、31年前の天皇賞・春だった。
トウカイテイオーの追い切りに騎乗した岡部幸雄元騎手(現競馬評論家)が、その背中の乗り味を「地の果てまで伸びていく感じ」と表現すれば、メジロマックイーンに騎乗した武豊騎手は「あちらが地の果てなら、こちらは天まで昇れそうです」と舌戦。現役最強を懸けた頂上決戦は、戦前から非常に大きな盛り上がりを見せた。
しかし、「世紀の一戦」と評された対決は、誰も想像がつかなかったほど、あっけない幕切れで終わった。
レースはメジロマックイーンが2着のカミノクレッセに2馬身半差をつけて勝利。1番人気のトウカイテイオーは最後の直線で伸びを欠き5着に敗れ、レース後に2度目の骨折が判明する残念な結果となった。
祖父の代から続く因縁のライバルは既に出走権を手に入れた。メジロマックイーンの孫ナイトインロンドンも神戸新聞杯で結果を残し、本番でレーベンスティールとの対決に持ち込みたいところだ。