「武豊超え」に燃える横山典弘、スプリントG1・6勝の名伯楽が「横山マジック」に託す
「豊超え」に横山典弘騎手が燃えていることだろう。
10月1日、秋のG1シーズンの幕開けとなるスプリンターズS(G1)が中山競馬場で行われる。
このレースでアグリ(牡4、栗東・安田隆行厩舎)に騎乗する横山典弘騎手。勝利すると、今年4月に大阪杯(G1)をジャックドールで優勝した武豊騎手が打ちたてたJRA・G1最年長勝利記録(54歳19日)を更新することになる。
息子の横山和生騎手から乗り替わりでコンビを組んだセントウルS(G2)では、テイエムスパーダが逃げ切った前残りの展開をただ1頭、上がり3F最速の脚で追い込み、2着に入った。ここでもチャンスは十分にあるだろう。ちなみにブラックホークで同レースを勝った1999年は2番人気での勝利。このとき2着に下した相手は武豊騎手が騎乗していた1番人気のアグネスワールドだった。
スプリントG1・6勝の名伯楽が「横山マジック」に託す
そして騎手以上にこのレースに対する思い入れが強いのは、アグリを管理する安田隆調教師かもしれない。同厩舎は、これまで芝1200mのG1で6勝を挙げてきた「短距離王国」。スプリンターズSは2011年のカレンチャン、そして12、13年のロードカナロアで3連覇の偉業を達成している。
「安田隆師にとって、最初のスプリンターズS制覇を果たしたのがカレンチャンだったのですが、同レースには同厩舎の所属馬が3頭出走していました。翌年はロードカナロア、カレンチャンでワンツーを決めています。実はもう1頭出走していたので、G1に2年連続で3頭出ししていたように、層の厚さも特筆ものでしたね」(競馬誌ライター)
その安田隆師も来年2月末に定年を迎える。つまり、今回がJRAでは最後の芝1200mのG1参戦となる。アグリの他、ジュビリーヘッドも出走予定と層の厚さは相変わらずだ。
安田隆師は『スポーツニッポン』の取材に対し、「3戦続けて1200mを使って距離には対応できると思う。今回もジョッキー(横山典)に任せて。うまくさばければ、チャンスはあると思います」と、最後のスプリントG1でも気負うことなく、泰然自若としている。
横山典騎手も自身のJRA・G1最年長勝利記録更新とともに、安田隆師に最後のスプリントG1勝利をプレゼントしたいという思いは強いはず。ここはひとつ「横山典弘マジック」に期待してみたい。