9月だけで「4億独占」が2度出現のWIN5に異常事態! 大波乱の連続も「キャリーオーバー」不発に意気消沈するファン続出
10%増しでも「1万5380円」だった前回から、「4億2878万3320円」というとんでもない落差だ。
24日に行われた中央競馬の「WIN5」は、対象1レース目の中山9Rから大波乱が続く驚きの展開だった。
WIN5とは、「JRAが指定する5つのレースそれぞれで1着になると思う馬を選び、5レース全ての1着馬を当てる馬券」である。なんといっても最大の魅力は、的中した場合に「100円に対して最大6億円」の払戻を手にするチャンスがあることだ。当てることは至難の業ではあるが、宝くじのような感覚で一獲千金の夢を見られるため、毎週欠かさずに購入している熱心なファンも多い。
では、当日のWIN5を簡単にではあるが、振り返ってみたい。
東西とも晴天の下に開催されたこの日。対象1レース目となったのは、中山9Rの木更津特別(2勝クラス・芝1600m)だ。
逃げると目されていた2番人気グラニットがハナに拘らない好位からの競馬を選択したことも展開に少なからず影響した。これをチャンスと見たのか逃げの手に出たのが、12番人気のセンタースリール。マイペースに持ち込むと、最終コーナーを回っても脚色は衰えず、まんまと逃げ切ってしまった。
3戦連続で1200mを使って行き脚が付きやすかったのと、ハンデ戦で52キロの軽量も味方したか。全体的なラップとしても淀みないペースで制しており、ただのスローペースの前残りともいえない勝ち方だった。大穴の激走により、612万5476票から一気に5万5554票まで激減した。
1レース目の余韻も残る中でスタートした対象2レース目は、阪神10Rの道頓堀S(3勝クラス・芝1200m)。こちらは、高速決着が続いている阪神の馬場を味方に粘り込みを図ったメイショウエニシアの逃げを、池添謙一騎手のグレイトゲイナーが2番手から交わして勝利。16頭立ての15番人気で単勝も125.3倍と万馬券の超人気薄が制したことで、残り票数も5万5554票から987票まで大きく減った。
3レース目を終えた段階で残存率0.0010%
対象3レース目の中山10R内房S(3勝クラス・ダート1800m)もまた、一筋縄ではいかないレース結果。単勝オッズ一桁台の馬が5頭いた混戦の中、最後の直線を力強く抜け出したのは、大野拓弥騎手の6番人気ダノンマデイラだ。能力的には上位の馬だが、前走から約1年半ぶりの休み明けを嫌われたのか、人気の盲点となった。3レースを終えて、残り票数も987票から59票まで減った。
3レース目を終えた段階で残り59票は、残存率にして0.0010%。SNSでは、ひょっとしたら「キャリーオーバー」もあるのではないかと期待するファンの声も大きくなり始めた。
対象レースは東西のメイン、阪神の神戸新聞杯(G2・芝2400m)と中山のオールカマー(G2・芝2200m)を残すのみ。大多数のファンが脱落していたこともあり、どちらかが波乱の決着ならキャリーオーバーとなる可能性も高くなっていた。
「馬券は当てたいが、レースは荒れて欲しい」
そんな複雑な心境で見守ったファンもいたであろう対象4レース目の神戸新聞杯だったのだが、武豊騎手の2番人気ファントムシーフを10番人気サヴォーナが直線で交わしたまではよかったものの、レースを制したのは8番手の後方から桁違いの切れ味を見せた川田将雅騎手のサトノグランツ。こちらは3番人気のため、最終関門を前に7票が生き残っていた。
多くのファンが固唾を飲んで注目した対象5レース目のオールカマー。なんといっても主役は、競走中止となった天皇賞・春(G1)以来の復帰戦を迎えたタイトルホルダー。好スタートを決めると、持ち前のスピードを発揮した快ラップを刻み、4コーナー先頭で後続を突き放しにかかる。
ただ、ラストの二の脚が鈍って残り1ハロンで失速。直線5番手から末脚を炸裂させたローシャムパークの軍門に下った。勝ち馬はC.ルメール騎手が騎乗していたとはいえ、4番人気の伏兵扱い。
「キャリーはあるのか?ないのか?」
人によっては、あたかも「死刑宣告」を待たされているかのような感情にすらなったかもしれない。
1分1秒がとてつもなく長く感じられた結末は、キャリーオーバーに一縷の望みをかけていた脱落者たちには残酷な「的中1票」の発表となった。
その結果、4億を超える払戻を独占した「億り人」がまた一人、誕生した瞬間である。
ちなみに今年のWIN5における億超えは、7月23日の2億1884万7050円、9月10日の4億2318万30円に続いて今回が3度目。2023年の最高額を更新するとともに、わずか1ヶ月の間で4億超えの超高額払戻が2度も出現したのは驚きだ。
2011年から発売されたWIN5で、同じ月に的中1票が出たケースは、2014年の3月2日と3月21日以来の珍事。当時は上限が2億円に設定されていたため、同月に4億超え2回は12年の歴史で初のケースとなる。
前回(18日)のWIN5は、JRAアニバーサリーとして開催され、特別払戻率「JRAスーパープレミアム」の採用で払戻率が80%(WIN5は通常70%)の“1割増し”だったにもかかわらず、対象5レースがすべて堅い決着で1万5380円の配当に拍子抜けしたファンも多かったはず。
ところが、その6日後に天地の開きがある4億超えだったのだから、まさに競馬は何が起こるか分からないといったところ。秋のG1戦線開幕を告げるスプリンターズS(G1)が対象レースに含まれる今週末。一獲千金を夢見るファンの戦いはまだまだ終わらない。