武豊に「乗り替わり」回避も岩田康誠「謎降板」でファン困惑!? 前走大楽勝の「大物」が若武者と再コンビ
今週からいよいよ秋の東京・京都競馬がスタートする。
8日の東京では毎日王冠(G2)が開催。春のヴィクトリアマイル(G1)と安田記念(G1)を連勝したソングライン、2年前のNHKマイルC(G1)で同馬を破ったシュネルマイスターによる4度目の直接対決に注目が集まる。
翌9日に行われる京都の京都大賞典(G2)もディープボンド、ヒートオンビート、ボッケリーニにヴェラアズールといったトップクラスの中長距離馬が集結。最強馬の座を懸けて争うイクイノックスとドウデュースへの挑戦権を巡る好レースに期待できそうだ。
中でも夏の上がり馬として注目の存在となりそうなのが、京都大賞典で秋の始動戦を迎えるブローザホーン(牡4歳、美浦・中野栄治厩舎)だ。
同馬は前走、芝2600mの札幌日経オープン(L)を6馬身差で圧勝。積極的に先行し、2周目3コーナーでは抑えきれない手応えで早くも先頭に躍り出る。最後の直線に入っても後続との差を広げる一方という、まさに度肝を抜く強さだった。
それもそのはず、ブローザホーンは2走前の函館記念(G3)でも3着に好走した実力馬だったからだ。最後の直線で進路を切り替えるロスがありながらも、後にオールカマー(G2)を制するローシャムパークとわずか0秒4差。それも手綱を取った岩田康誠騎手が、レース中にポジション取りを迷ったことについて、「本当にエンジンがかかったのは、ラスト1ハロンでした。差が差だけに悔しいです」と悔やんだほどの不完全燃焼でのもの。それだけに、重賞でもないメンバーを相手なら大楽勝だったのも頷ける。
中間はひと息入れているが、気配は良好のようだ。1週前追い切りは美浦のウッドコースを軽やかに駆けており、管理する中野師は「このひと追いで気合いが入ると思う」と仕上がりについてコメント。なお陣営は大目標に有馬記念(G1)を掲げている。まずは秋初戦でどのような走りを見せてくれるだろうか。
前走大楽勝の「大物」が若武者と再コンビ
しかし、違和感を覚えたのは、ここ3戦でコンビを組んでいた岩田康騎手ではなく、菅原明良騎手とのコンビで想定されていることだ。
岩田康騎手とブローザホーンは今年5月の烏丸S(3勝クラス)で初コンビを結成。不良馬場という厳しいコンディションの中で行われた一戦だったが、テン乗りとは思えないような人馬一体の走りで直線抜け出して5馬身差でゴール。入線時に渾身のガッツポーズが飛び出していたことからも、まさに会心の勝利であったに違いない。
次戦の函館記念は先述の通り、ややスムーズさを欠く内容で3着まで。ちなみにレース後には中野師も「もったいない競馬だったよね」と不完全燃焼だった競馬を振り返っており、札幌日経OPは武豊騎手にオファーをする意向であるとも報じられていた。
乗り替わりの危機も迫っていた岩田康騎手だったが、最終的にはコンビ継続を決めて6馬身差の大楽勝。レース後には「重賞でも勝ち負けできる馬。オープンなので強気に乗りました。力を付けていると思います」など、この先のブローザホーンに期待していた。
それだけに、このコンビが秋競馬を賑わせてくれることに期待していたファンも多かったと思われる。乗り替わりが決まったことを受けて、SNSやネットの掲示板などにも「どうして岩田騎手じゃないのか」「この降板は謎だな」「ブローザホーンには岩田騎手が合っていると思っていたのに」といった声が集まっている。
「前進気勢がやや強めのブローザホーンと、それを腕っぷしの強さでがっちりと抑える岩田康騎手はなかなかお似合いのコンビのようにも思えたんですけどね。ただ同馬を所有する岡田牧雄オーナーと岩田康騎手は、2020年以降コンビがわずか7回のみ。一方の菅原明騎手は62回もコンビを組んでいる、同オーナーの主戦騎手の1人です。
また岩田康騎手が今年21勝で関西リーディング26位なのに対し、菅原明騎手は倍以上となる54勝である上に関東3位と好成績。過去の実績などを考慮せずあくまで今年の数字だけを見ると、ブレイク中の若手の勢いを買ったのかもしれませんね」(競馬誌ライター)
なお岩田康騎手とブローザホーンはここまで3戦2勝3着1回と好成績だが、菅原明騎手も同馬では1戦1勝と結果を残している。先述の通り大目標である暮れのグランプリを見据えるためにも、ここは5年目若武者の手綱さばきに期待したい。