C.ルメール「勝ち馬が強過ぎた」最強候補レガレイラが敗戦…クラシックを見据える有力馬をピックアップ、「勢力図激変」も粒揃いの2歳世代が面白い
21日、東京競馬場で行われたアイビーS(L)。出走馬の頭数こそわずか6頭だったものの、世代最強候補の呼び声が高かったC.ルメール騎手のレガレイラ、短期免許で来日中のJ.モレイラ騎手のダノンエアズロックが対決するとあって大きな注目が集まった。
レガレイラの父スワーヴリチャードは、デビューした産駒がハイアベレージで勝ち上がっており、本馬の兄は昨年にクラシック候補といわれたドゥラドーレス。7月函館のデビュー戦で並ぶ間もなく交わし去った相手のセットアップが札幌2歳S(G3)で大楽勝したため、相対的に重賞級の評価を受けたのも当然か。鞍上に引き続きルメール騎手を迎えた万全の態勢で臨んだなら単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたのも頷ける。
しかし、芝1800mのレースで3番手の好位に取りつきながら、勝負どころとなった最後の直線で伸びを欠き、勝ったダノンエアズロックだけでなく、2着に逃げ粘ったホウオウプロサンゲすら捕まえ切れずに3着。世代最強候補から一転して一介の有力馬に転落してしまった。
「今日は勝ち馬が強過ぎたので仕方がない部分がありますが、能力の高い馬ですし、段々と良くなりそうです」
逃げた馬が先導した1000m通過のタイムは63秒1と超のつくスローペースだが、直線の長い東京コースで上がり3ハロン32秒7を駆使しても届かなかったのは痛恨だ。2着馬が33秒2、勝ち馬が32秒7だったのでは、レガレイラが差し切るためには32秒台前半の末脚が求められる展開である。
一方、この勝利で最強馬争いに大きく前進したのは優勝したダノンエアズロック。言い訳のできない東京の芝1800mで強い勝ち方をしたのだから価値がある。これで無傷の2連勝を飾ったが、母がマイラー色の強いモシーンのため、距離延長には少々懸念が残るかもしれない。
「勢力図激変」も粒揃いの2歳世代が面白い
断然人気馬があっさり負けていた昨年(現3歳世代)に比して、今のところは新星として注目を集めた馬が無敗馬なのは楽しみがある。そこで改めて、同じく2戦無敗のクラシック候補をピックアップしてみたい。
最初に採り上げたいのは、先日のサウジアラビアロイヤルC(G3)を快勝したゴンバデカーブース(牡2、美浦・堀宣行厩舎)。関係者からサンデーサイレンスの再来と期待されるブリックスアンドモルタル産駒は、母父にディープインパクトのいる良血馬だ。
距離に関しては未知数だが、前走のサウジアラビアRCは、直線で最後方の絶望的な位置からボンドガールやシュトラウスといったトップクラスを一蹴。勝ちタイムや上がり3ハロンも優秀で2馬身差の完勝を収めている。
次は武豊騎手とのコンビで8月札幌のコスモス賞(OP)を6馬身差でぶっちぎったエコロヴァルツ(牡2、栗東・牧浦充徳厩舎)。父はキタサンブラックを世に送り出したブラックタイドで母父にキングカメハメハとクラシック向きの血統である。
3頭目は坂井瑠星騎手とのコンビで芝1800mを連勝中のジュンゴールド(牡2、栗東・友道康夫厩舎)。初戦は後方から鋭い末脚を繰り出して差し切り、2戦目は一転して逃げ切り勝ちを決めた自在性が魅力の馬だ。クラシックに強いエピファネイア産駒でもある。
クラシックという意味でマイラー寄り血統の馬は割愛したが、敗れた馬の中にも未来のG1馬がいる可能性は十分。いずれにしても昨年以上に粒揃いの印象だ。