武豊期待のクラシック候補が軒並み敗戦…超大物シンエンペラーが打ち破りたい「不吉な傾向」とは

撮影:Ruriko.I

 25日に行われた京都2歳S(G3)は、1番人気に推されたシンエンペラー(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝。全兄に凱旋門賞馬ソットサスを持つ世界的良血馬が、わずか2戦目で重賞タイトルをものにした。

 シンエンペラーは1コーナーで頭を上げるなど幼い面を見せると、向正面では後方2番手の位置取り。先行抜け出しで勝った初戦とはまるで違う競馬となり、勝負どころの4コーナーから直線入り口にかけても馬群に包まれたままだった。

 それでもわずかなスペースを見つけると、しっかりと脚を伸ばし、最後は半馬身差でゴール。決してスムーズな競馬ではなかったが、それでも勝ち切ったあたり流石としかいいようがない。

 騎乗したJ.モレイラ騎手もレース後「能力が高い馬にしかできない勝ち方をしてくれました」と、パートナーの力を絶賛。管理する矢作師も「伸びしろはまだまだある」と話し、問題がなければ次はホープフルS(G1)と明言。年末はもちろん、来春のクラシックでも最有力候補の1頭になったことは間違いないだろう。

 ただ、そんな超大物シンエンペラーにはやや気になる点もある。

打ち破りたい「不吉な傾向」とは…

 というのも同馬が制した京都2歳Sだが、重賞に格上げとなった2014年以降、勝ち馬が翌年クラシックホースとなった例が一度もない。またシンエンペラーと同じく無敗で制した馬は3頭いたのだが、3頭ともになぜか次走で敗れるという不吉な傾向まで存在している。

 ちなみに無敗で制した馬はマイラプソディ、グレイル、ドレッドノータス。奇しくも京都2歳Sでは3頭ともに武豊騎手が手綱を握っていた。レース後にはそれぞれ「まだまだ伸びそうなところがある(マイラプソディ)」「素質を感じます(グレイル)」「能力の高さが感じられる(ドレッドノータス)」などと、翌春に向けて期待のコメントを残していたのだが、そんなクラシック候補たちが揃いも揃って次走で敗れているのである。

 そのようなこともあってか、ほぼ同時期に開催される東京スポーツ杯2歳S(G2)が出世レースと言われているのに対し、京都2歳Sからは特にそのような声が聞かれてはこない。

「マイラプソディやグレイルも京都2歳Sを勝ったあたりでは超大物と囁かれ、次走でも単勝1倍台に支持されていたものの、敗れているのは確かに不吉ですね。ただシンエンペラーは今年の京都2歳Sをレースレコードで勝利。そのため過去の勝ち馬よりもかなり期待が持てるのではないでしょうか。

また京都2歳Sですが重賞になる以前は、皐月賞(G1)を制するヴィクトワールピサや、菊花賞馬エピファネイアなどクラシックホースを輩出しています。重賞に格上げとなってからはまだ歴史が浅いので、これからどんどん活躍馬が出てきても不思議ではないでしょう」(競馬誌ライター)

 果たしてシンエンペラーは不吉な傾向を打ち破り、3連勝を飾れるだろうか。同馬の活躍次第では、これから京都2歳Sも出世レースと呼ばれることになるかもしれない。

GJ 編集部

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