C.ルメール「僕の家族」と「大事な馬」で最強馬論争再び? イクイノックスにあってアーモンドアイになかったもの

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 世界最強馬イクイノックスに三冠牝馬リバティアイランドが挑戦し、今秋最大の注目を集めたジャパンC(G1)。結果は周知の通り、最後の直線で懸命に追いすがる3歳牝馬を寄せ付けず、余裕綽々の手応えで4馬身差をつけたイクイノックスのワンサイドゲームで幕を閉じた。

 これほどまでに力の差を見せつけられては、リバティアイランドの川田将雅騎手も「勝った馬はさすが世界一、凄く強かったです」と、王者の圧倒的な強さに脱帽するしかなかった。

 勝ったイクイノックスは、これで通算10戦8勝(海外含む)。総獲得賞金は22億1544万6100円となり、アーモンドアイが持つ19億1526万3900円を抜いてトップ。陣営が秋の大目標に据えた大一番を制し、これを機に引退して種牡馬入りするか、有馬記念(G1)に参戦するか、来年の現役続行も含めた動向に注目が集まる。

「僕の家族」と「大事な馬」で最強馬論争再び?

 また、この勝利によってアーモンドアイとイクイノックスのどちらが強かったのかという論争も一部のファンの間で盛り上がった。

 両馬の主戦を務めるC.ルメール騎手の心境にも少しずつ変化が見られている。宝塚記念(G1)前には、当時はまだG1・3勝だったイクイノックスに対し、比較をするにしても「9回勝つまで働かないといけないね」とお茶を濁していたものの、前走の天皇賞・秋(G1)でG1・5連勝を決めたあたりから少々変化が見られた。

 当時は「どちらが強いのかは分からない」「アーモンドアイは僕の家族」「イクイノックスも自分にとって大事な馬」と評したが、ジャパンCを圧勝したことで心境の変化も出てきそうだ。

 シルクレーシング所有のノーザンファーム生産馬で、主戦がルメール騎手という共通点を持つ2頭。日本を代表するG1である天皇賞・秋、ジャパンCを優勝し、イクイノックスは前者、アーモンドアイは後者のレコードを更新した。レーティングについては、イクイノックスが優勢だが、G1勝ち数では9勝のアーモンドアイが上回る。

 どちらも競馬史に名を残す素晴らしい馬だけに、優劣をつけることすら無粋に感じらえることを承知の上で、決定的な違いを挙げるとしたら、やはりグランプリレースを優勝していたかどうかだろう。

 完全無欠の女王が唯一、馬柱に汚点を残したのが2019年の有馬記念である。単勝オッズ1.5倍の断然人気を背負いながら、最後の直線でズルズルと後退して9着に惨敗。宝塚記念への出走はなかったが、15戦のキャリアで着外に敗れたのは、このときのみ。スムーズなレース運びが出来なかったとはいえ、安田記念(G1)も2年連続で敗れている。

 さらに、5歳で引退した女王に対し、4歳のイクイノックスが現時点で比較相手として名前を挙げられていることも大きいか。

 世代も異なるため、直接対決は実現しない2頭であるが、もし直接対決が実現していたら、どのような結果となるだろうか。人それぞれ心の中の最強馬は異なるだけに、こうして色々と思い描いてみるのも競馬の楽しみのひとつである。

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