「藤沢和雄イズム」継承の名門がレイデオロ産駒と2年前のリベンジへ! 英国名手も「大絶賛」デビュー2連勝の大器がダービー候補に名乗り

W.ビュイック騎手

 2日、中山競馬場で行われた葉牡丹賞(1勝クラス)は、単勝1.8倍の期待に応えてトロヴァトーレ(牡2歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が優勝。デビューから無傷の2戦2勝とした。

 芝2000mの一戦。9頭立ての1枠1番からスタートしたトロヴァトーレと鞍上のW.ビュイック騎手は道中、中団のインコースを追走。最内枠だったこともあり、やや窮屈な競馬を強いられたこともあって、最後の直線に向くと一瞬、前が壁になりかけた。

 ただ、すぐさま進路を外に切り替えると、1頭分の狭いスペースを確保。鞍上のゴーサインに反応すると一気に脚を伸ばして突き抜け、最後は後続に2馬身差をつける完勝を収めた。

「まだキャリアが浅い2歳馬だけに、進路を切り替えるロスは並の馬なら致命傷になってもおかしくありません。しかしトロヴァトーレはそこから2馬身も突き放したのですから大したものです。順調に行けば来春の大舞台を賑わす存在となるでしょうね」(競馬誌ライター)

英国名手も「大絶賛」

 レース後のビュイック騎手は「道中の折り合いはピッタリで、素晴らしい末脚でした」と、トロヴァトーレの競馬ぶりを絶賛。さらに英国の名手は「来年のダービー候補に名乗りを上げる1頭だと思います」と太鼓判まで押している。

 また、この勝利はトロヴァトーレを管理する鹿戸師にとっても大きな意味を持つ1勝となったに違いない。

 本馬の父は新種牡馬レイデオロ。現役時代は管理する藤沢和雄元調教師に初の日本ダービー(G1)優勝をもたらした馬だが、調教師になる以前に同厩舎で修業を積んでいたのが鹿戸師である。

 鹿戸師は「調教師を目指すなら、うちで勉強した方がいい」と藤沢和元調教師に声をかけられたそうで、2005年にはゼンノロブロイの英国遠征にも帯同。「とても勉強になりましたし、良い経験をさせてもらいました」と『netkeiba.com』で連載された『藤沢和雄調教師引退特集』の中で語っており、藤沢和師が引退の際には「師匠の藤沢先生には数えきれないほど色々な事を勉強させていただきました」「教えを胸にこれからも精進していきます」と、感謝の言葉を自身のSNSに投稿している。

 今回、ビュイック騎手から「ダービー候補」とお墨付きをもらったトロヴァトーレは、そんな師匠が育て上げたレイデオロの産駒である。

 これには鹿戸師も『サンケイスポーツ』の取材に「藤沢先生が一番喜んでいるんじゃないですかね。それか『俺だったら3馬身違う』とか言われそうで怖いですね」などと、茶目っ気たっぷりのコメントを残している。

「ユーモアたっぷりで師弟関係を語っていた鹿戸師ですが、鹿戸厩舎といえばスクリーンヒーローで2008年のジャパンC(G1)を制覇。2021年の年度代表馬となったG1・3勝馬のエフフォーリアも送り出している名門ですが、2年前のダービーでは同馬が1番人気に推されたものの、ハナ差で惜敗。その時のリベンジを果たしてほしいですね」(同)

 トロヴァトーレの今後について、鹿戸師は「大事に使っていきたい」と話し、父がG2時代に制している暮れのホープフルS(G1)は使わない方向だという。レイデオロとはまた違ったローテーションでクラシックを目指すこととなりそうだ。

 藤沢イズムを継承した鹿戸師が管理するレイデオロ産駒の大器トロヴァトーレに、今後も大いに注目したい。

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