【阪神C(G2)展望】スプリント王ママコチャVS短距離王国「最後の大物」アグリ! 暮れの阪神にG1ウイナー4頭が集結!
23日、阪神競馬場では関西圏で今年最後の重賞となる阪神C(G2)が行われる。スーパーG2と呼ばれる7ハロン戦に、今年はG1馬4頭が出走を予定している。
スプリント王として負けられないママコチャ
最有力候補は、10月のスプリンターズS(G1)を制したママコチャ(牝4歳、栗東・池江泰寿厩舎)だろう。
毛色は鹿毛だが、純白の女王ソダシの全妹としてデビュー当初から常に比較されてきた。2歳時にファンタジーS(G3)3着に好走したこともあったが、牝馬三冠レースに出走することは叶わず。昨年暮れのターコイズS(G3)で5着、今年初戦の阪神牝馬S(G2)で9着など、マイル重賞ではパンチ不足の感が否めなかった。
ところが春の安土城S(L)を勝利し、初スプリントの北九州記念(G3)で2着と、1400m以下で素質を開花。前走のスプリンターズSは、テン乗りの川田将雅騎手を背にマッドクールとの接戦を制し、G1の大舞台で重賞初制覇を成し遂げた。
川田騎手は「これから先も期待される馬」とママコチャを高く評価するとともに、「スプリントのレースをもっと覚えていければ、もっと良い形で走れるようになると思います」と、伸びシロも意識していた。今回は3戦ぶりに距離を1ハロン延長するが、忙しい1200mよりもむしろ競馬はしやすいはず。川田騎手と2度目のコンビで重賞連勝を狙う。
来年2月に定年、安田隆行厩舎「最後の大物」アグリ
アグリ(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)は、ママコチャと同じく昨年の夏以降に本格化。4連勝で今年2月の阪急杯(G3)を制し、続く高松宮記念(G1)では3番人気に支持された。
不良馬場で行われた初G1で好位から競馬を進めたが、直線での不利もあって7着に敗退。その後は強豪スプリンターがひしめく香港に渡って、チェアマンズスプリントプライズ(G1)に挑んだが、5着に敗れた。
秋はセントウルS(G2)から始動し、それまでの先行脚質から一転、控える競馬で2着に突っ込んだ。そして迎えたスプリンターズSで、ナムラクレアに次ぐ2番人気に支持されたが、またも末脚は不発。2度目のG1も春と同じ7着に終わった。
秋の2走は横山典弘騎手が手綱を取っていたが、今回は鞍上をC.ルメール騎手にスイッチ。約2か月後に定年が迫った安田隆調教師は数多くの名マイラー、スプリンターを送り出した名門だが、“最後の大物”が本領発揮となるか。
スワンSを勝って勢いに乗るウイングレイテスト
ウイングレイテスト(牡6歳、美浦・畠山吉宏厩舎)は、前走のスワンS(G2)を10番人気で制覇。実にキャリア32戦目、重賞10度目のトライで待望の初勝利となった。
3歳春以降は1600~1800mを使われていたが、3年7か月ぶりの7ハロン戦に見事に対応。2番手から早めに抜け出す積極策で、最後は後続の追撃を凌いだ。
鞍上を務めた松岡正海騎手は「スパートした後は押し切ってくれると思っていました」と自信の早仕掛け。「能力は元から持っている馬ですから、頑張っていきたいと思っています」と7歳を目前にしたパートナーの更なる活躍に期待を寄せるコメントを残している。
阪神1400mと相性抜群のグレナディアガーズ
グレナディアガーズ(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)は、3年前の朝日杯フューチュリティS(G1)覇者だ。阪神Cは2年前に勝利し、昨年もダイアトニックの2着に入っている好相性のレース。
丸2年勝利から遠ざかっているものの、19着に大敗した昨年のプラチナジュビリーS(英G1)を除けば、着順ほど負けていない。近2走の高松宮記念とスワンSも出遅れがたたり後方からの競馬になったが、それぞれ上がり最速、上がり2位の末脚で上位には顔を出している。
今回は実績ある阪神コースが舞台。スタートを決めて、いいポジションが取れれば2年ぶりの勝利も見えてくるだろう。
鋭い切れ味エイシンスポッターは鞍上・角田大河騎手に注目
歴戦のG1馬たちには実績でやや劣るが、鋭い切れ味を持つエイシンスポッター(牡4歳、栗東・吉村圭司厩舎)も侮れない存在だ。
前走の京阪杯(G3)では、スタートでロスがあっていつも通り後方からの競馬。やや前残りの馬場で、4角15番手という絶望的な位置にいたが、上がり3ハロン32秒2の末脚を駆使して3着まで追い上げた。
騎乗した角田大河騎手も「4歳で、まだまだ成長できる」と、今後の活躍に胸を膨らませている。2年目の若手が毎日杯(G3)以来となる重賞2勝目を飾れるか。
ダノンスコーピオン&ピクシーナイト復活なるか
この他には、2年前のスプリンターズSを制したピクシーナイト(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)、昨年のNHKマイルC(G1)を制したダノンスコーピオン(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)、4月のニュージーランドT(G2)を制したエエヤン(牡3歳、美浦・伊藤大士厩舎)が、それぞれ不振脱却を狙う。
スプリントG1ウイナー2頭とマイルG1ウイナー2頭をはじめ、一流短距離馬がそろった一戦を制するのは、果たしてどの馬になるのか。阪神Cは23日の15時35分に発走予定となっている。