最終Rで「有馬記念の負け」を一気に取り返す! 「高配当の使者」は好タイム勝利を収めた「アノ馬」と集大成を迎える「いぶし銀」のコンビ
発走が目前に迫っている有馬記念(G1)。1996年は875億円を売り上げ、ギネス記録にもなっている。世界一馬券が売れるレースともいわれており、いつもより多めの金額で購入するファンや、普段は買わないけれど有馬記念だけは参加するという人も少なくないだろう。
ただ、もちろん全員が当たるわけではない。中には腰が抜けるほどの大負けを喫してしまう人もいるかもしれない。
しかし、ありがたいことに有馬記念の後にも、中山では最終12RのフェアウェルS(3勝クラス)がある。仮に有馬記念でハズれてしまったとしても、それを取り返す、当たった人はさらにプラスを上乗せするチャンスが残されているわけだ。
そんなフェアウェルSで、有馬記念で勝った人にも負けてしまった人にもおすすめしたい絶好の穴馬がいる。それがロードオブザチェコ(牡5歳、美浦・石栗龍彦厩舎)だ。
同馬は3勝クラスに昇級後のここ3戦、すべて二桁着順に惨敗。そのため『netkeiba.com』で公開されている単勝予想オッズでも、23日時点で14番人気というまったくの人気薄である。
ただ、フェアウェルSと同じ中山ダート1200mで行われた4走前の袖ケ浦特別(2勝クラス)は、ハナを奪って5馬身差の圧勝。勝ちタイムの1分9秒5は先週終了時点において、今年行われた中山ダート1200m全115レース中、4番目の好時計という特筆すべきものであった。
同じく中山ダート1200mで争われた前走の外房S(3勝クラス)は14着に終わったが、先手争いが激しくなり、ハナを奪ったもののオーバーラップ気味だったことが敗因。ちなみに前半600m通過は33秒4であり、これは同日メインに開催された芝のスプリンターズS(G1)とも0秒1しか違わなかった。
それでもロードオブザチェコはラスト100m付近まで先頭をキープし、1着から1秒以内に踏みとどまるなど力は示した。今回はマイペースに持ち込むことができれば、侮れない1頭となる。
そして、そんなロードオブザチェコに騎乗するのが、先日、年内での現役引退を発表した柴山雄一騎手である。
騎乗するのは先日引退を発表した柴山雄一騎手
現在45歳の柴山騎手は、1998年に地方・笠松競馬でデビュー。2004年、JRA騎手免許試験に一次試験から挑んで見事に一発合格した。移籍初年度の2005年は年間80勝をマークしたが、今年はここまでわずか5勝と苦戦。そしてついに先日、31日付で騎手免許を取り消すことを発表した。
その理由について同騎手は『競馬ラボ』に連載しているコラム『柴山雄一のStarting Over』の中で、昨年あたりから胃潰瘍や十二指腸潰瘍など体調不良でたびたび、開催当日に騎乗変更となっていたことを挙げており、「騎乗依頼をくれていた厩舎や馬主さん、JRA職員さんなどにも迷惑を掛けっぱなし。なかなか良くならず、その辺りから引退も頭によぎり始めていました」と説明している。
先週終了時点でJRA通算602勝を挙げ、重賞12勝をマーク。地方時代を含めると、およそ四半世紀にもわたり騎手として活躍してきた。そんないぶし銀の姿が競馬場で見られる機会も残りわずかとなってきたが、過去にも引退の迫ったジョッキーが好走する例が多いことは競馬ファンの間でも知られるところである。
先週16日の中山最終レースでは、調教師試験に合格し、今年いっぱいの騎手引退が発表されたばかりだった田中勝春騎手が、約8ヶ月ぶりの勝利。また一昨年2月には、現役最終日の蛯名正義騎手(現調教師)が9番人気で激走し、現役最後の白星を飾ったことを覚えているファンもまだいるだろう。
ちなみに上記の2例はともに中山ダート1200mで行われたレース。奇しくも柴山騎手とロードオブザチェコのコンビが挑むフェアウェルSも同じ条件で行われる一戦である。
柴山騎手は先述のコラム内でロードオブザチェコについて「枠順や並びは重要ですが、こちらも馬主さんのはからいで乗せていただいているだけに力が入ります」と、大仕事の雰囲気も漂わせている。
有馬記念の後に行われるだけに、なかなか平常心で予想することが難しそうなフェアウェルSだが、いよいよ騎手としての集大成を迎えることとなる柴山騎手とロードオブザチェコのコンビを忘れずに押さえておいて損はなさそうだ。