「17連敗」経験した藤田菜七子の同期が快進撃! C.ルメール、川田将雅の間に割り込む存在感…巻き返し図る横山武史の難敵となるか
今年でデビュー9年目を迎える坂井瑠星騎手が絶好調だ。
6日の京都でいきなり4勝を挙げて開幕リーディング。その後に17連敗の急ブレーキが掛かったものの、13日に京都2Rで連敗をストップさせてから再び上昇気流に乗った。
コンスタントに勝ち星を積み上げつつ、2番人気ウィリアムバローズと挑んだ21日の東海S(G2)で今年の重賞初勝利。先週の開催を終えた全国リーディングでも14勝で1位のC.ルメール騎手、11勝で3位の川田将雅騎手との間に割り込む2位に食い込んだ。同期に藤田菜七子騎手や荻野極騎手らがいる坂井騎手だが、成績的にも抜けた存在となりつつある。
G1初勝利こそ2022年のスプリンターズS(G1)を制した荻野極騎手に先を越されたが、同年の秋華賞(G1)をスタニングローズで優勝し、朝日杯フューチュリティS(G1)をドルチェモアで制して勝ち越した。
昨年もレモンポップとのコンビでフェブラリーS(G1)とチャンピオンズC(G1)を連勝してJRA・G1を4勝と、その勢いは止まらない。昨年暮れのホープフルS(G1)で脚を余した格好の5着に敗れたミスタージーティーの騎乗に対し、「完全に騎手のミス」と厳しい評価を下したこともあったが、師匠である矢作芳人調教師が施した英才教育も愛弟子の急成長に好結果をもたらしているといえるだろう。
次世代のスター騎手候補2人のライバル関係に注目
「坂井騎手の持ち味といえば、やはり道中における積極的なポジショニングでしょう。4勝したG1の中身は、ほぼ好位抜け出しか逃げ切り勝ち。外枠に入っても強気に先手を主張するアグレッシブなスタイルが好成績の秘訣ですね。
先行勢を射程圏に入れた位置にいてくれるため、馬券を買う側としても安心できる騎手のひとりといえます。課題があるとすれば、差しや追い込みの馬があまり得意ではなさそうな点ですが、競馬は基本的に好位の方がペースに左右されにくいため、大きな割引とはならないでしょう」(競馬記者)
そんな坂井騎手に対し、最近少し元気がないのは1年後輩の横山武史騎手だ。
エフフォーリアとのコンビで一足先にブレイクした関東の若武者は、関係者からの信頼を得るとともに成績も急上昇。ついには戸崎圭太騎手から関東リーディングの座を奪うまでに成長した。
ただ、昨年に重賞7勝を挙げたとはいえ、終盤から今年に入っては、持ち味である思い切りの良さに物足りなさを感じるシーンも見え始めている。その結果が藤岡康太騎手へと乗り替わったナミュールのマイルCS(G1)であったり、重賞で惜敗が続いていることと無関係ではないのかもしれない。
思えば坂井騎手とのコンビで東海Sを制したウィリアムバローズも、かつて横山武騎手が騎乗していたことのある馬だった。そういう意味では、アメリカジョッキークラブC(G2)の逃げに賛否両論が分かれたマイネルウィルトスとは、対照的な結果だったともいえそうだ。
数字的には横山武騎手も10勝を挙げて4位と奮闘中だ。同騎手は重賞20勝で坂井騎手は15勝と5勝差。1年違いのライバルとして、次世代を担う2人が今年の競馬を盛り上げてくれることに期待したい。