岩田望来、V宣言から一転「僕の責任。また乗せていただけるなら」マスクトディーヴァ主戦降板の大ピンチ…安藤勝己氏からエールも単勝1.9倍敗戦に遠のくG1初制覇
4日、東京競馬場で行われた東京新聞杯(G3)は、7番人気のサクラトゥジュール(牡7歳、美浦・堀宣行厩舎)が重賞初制覇。昨年の14着から見事な変わり身を見せた。
「強い勝ち方ができたと思う。日本をとても楽しんでいます」
レース後、そう笑顔を見せたのは初の短期免許でブレイク中のR.キング騎手だ。先々週のアメリカジョッキークラブC(G2)でJRA重賞初制覇を飾った勢いそのままに、この東京新聞杯も1枠1番の利を活かしたファインプレー。ロスなくコーナーを回ると、最後の直線では鋭くインから突き抜けた。日本初参戦となった昨年のWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)で総合2位に健闘した腕利きが、年明けから抜群の存在感を見せている。
その一方、ホロ苦い結果に終わってしまったのが、1番人気のマスクトディーヴァ(牝4歳、栗東・辻野泰之厩舎)に騎乗していた岩田望来騎手だ。
「結果を出して、いい景色を見たいと思います――」
昨年はキング騎手らを破ったWASJで自身初の総合優勝、自己最多となる115勝を挙げ、重賞5勝と大きく飛躍した岩田望騎手。今や若手No.1の呼び声も高い6年目の若武者は、東京新聞杯の直前に取材を受けた『テレ東競馬チャンネル』の動画内でそう力強くV宣言していた。
しかし、レースでは単勝1.9倍の大本命に推されながら大きく出遅れるアクシデント……。後方から懸命に追い上げたものの、6着まで巻き返すのが精一杯だった。
「うーん、残念な結果になってしまいました。岩田望騎手も『残念な気持ちです』『出遅れはリカバリーできたが、負担を掛ける競馬になってしまった』と落ち込んでいましたね。あとでパトロールビデオを確認しましたが、スタート直前にマスクトディーヴァが暴れてゲートに接触した影響か、ゲートが開くのが他馬よりも一瞬遅れていました。レース後には、JRAの公式HPでマスクトディーヴァに枠内駐立不良(突進)と説明があっただけでなく、制御できなかった岩田望騎手に戒告が下っています。
ああ(出遅れて最後方からの競馬に)なってしまっては、マイル初挑戦だったこともより大きなネックになってしまいますし、個人的には(勝ち馬から)0.4秒差の6着まで追い上げたことで改めて強い馬だと感じました。今回は残念でしたが、引き続き期待したいですね」(競馬記者)
昨年のローズS(G2)を日本レコードで勝ち、1馬身半差の2着に退けたブレイディヴェーグが後にエリザベス女王杯(G1)を制覇。リバティアイランドに1馬身差まで迫った秋華賞(G1)の内容からも、マスクトディーヴァがG1級の存在であることは誰もが認めるところだ。
しかし、それだけ周囲の期待が大きいからこそ、レース後のSNSや掲示板などで一部のファンからは岩田望騎手との「コンビ続投が心配」という声もあった。
安藤勝己氏からエールも主戦降板の大ピンチ…
「これ(コンビ続投)については元JRA騎手の安藤勝己さんも『ミライ(岩田望騎手)にリベンジの機会与えてほしいな』(公式Xより)と、あえて鞍上も名指しでエールを送っていました。
正直、今回は鞍上にとっても気の毒な結果だと思いますが、昨今の競馬は乗り替わりが当たり前の世界。岩田望騎手自身、今年の目標にJRAのG1制覇を挙げていましたし、個人的にはコンビを続投してほしいところですが……」(同)
岩田望騎手は今回の東京新聞杯でも8番人気のホウオウビスケッツを3着に導いた名手・岩田康誠騎手の息子としてデビューした“騎手界のサラブレッド”。1年目から新人王を獲得するなど2019年デビュー組を牽引する存在だった。
だが、昨年は同期の団野大成騎手が、高松宮記念で一足早くG1制覇。岩田望騎手としても期するものがあったはずだ。先述した『テレ東競馬チャンネル』の動画内でも2024年の目標として年間100勝とともに「G1を獲りたい」と自身初のJRA・G1制覇を掲げていた。
そんな岩田望騎手にとって、マスクトディーヴァは目標達成に向けた最も有力な存在といえるだろう。「結果を出して、いい景色を見たい」という誓いの中には、東京新聞杯を勝って、5月のヴィクトリアマイル(G1)という青写真があるはずだっただけに、今回の敗戦は本人にとってもショックは小さくないはずだ。
「申し訳ありません。僕の責任です。また乗せていただけるようならリベンジしたい」
ここまで3戦2勝。2着に敗れた相手がリバティアイランドだけと、マスクトディーヴァとのコンビでほぼ完璧な成績を残していた岩田望騎手。しかし、今回の敗戦は大きな傷になってしまったかもしれない。