武豊クラシック有力お手馬「回避」も大役に気合! 皐月賞馬と涙を呑んだ30余年前の日本ダービー…偉大なホースマンの「花道」を飾れるか

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 JRAでは今週末から春のクラシックに向けたトライアルが目白押し。土曜は阪神でチューリップ賞(G2)、日曜は中山で弥生賞ディープインパクト記念(G2)と注目のステップレースが行われる。

 ただ、武豊騎手とのコンビで弥生賞に出走予定だったサンライズジパングは、脚元に違和感が生じて残念ながら回避。管理する音無秀孝調教師は「大事を取って見送る。皐月賞(G1)に直行する予定」と話しており、ローテーションに不安が残るものの、本番には間に合う見通し。1月の若駒S(L)は見事な直線一気で制しているだけに、しっかりと立て直して一冠目を迎えてほしいところだ。

 サンライズジパングが回避したことにより、3日は中山競馬場に平場戦のみの参戦となりそうな武豊騎手だが、実は大役を任されている。

 というのも、この日をもって定年・引退を迎える中野栄治調教師の管理馬に騎乗を予定しているからだ。

偉大なホースマンの「花道」を飾れるか

 2001年の高松宮記念(G1)とスプリンターズS(G1)を制した名短距離馬トロットスターを送り出している中野師は、騎手から転身した調教師であり、1990年の日本ダービー(G1)を逃げ切りで制した名馬アイネスフウジンの主戦騎手を務めていたことでも知られる。

 当時のダービーが開催された東京競馬場には、今では想像もつかない20万人近いファンが駆けつけた。勝者を称えるため巻き起こった「ナカノコール」のエピソードは、競馬ファンでなくても耳にしたことがあるのではないか。ちなみに競馬においてお馴染みにもなっている、勝者を称える「○○コール」はここから始まったとされている。

 1995年に騎手を引退し、調教師に転身してからも先週終了時点でJRA通算290勝をマークしている中野師。ホースマン人生はすでに半世紀を超えており、武豊騎手から見ても間違いなく偉大な先輩の1人だ。

「もはや伝説となっているアイネスフウジンのダービー、あれから早くも30年以上が経っていましたか……。ちなみにこのレースで当時デビュー4年目だった武豊騎手は、初のダービー制覇を目指して皐月賞馬ハクタイセイに騎乗。アイネスフウジンよりも上の2番人気に推されていましたが、惜しくも5着に敗れ涙を呑んでいます。

また武豊騎手が中野厩舎とのコンビで初勝利を挙げたのは、実は先述のトロットスター。蛯名正義騎手のイメージが強い同馬ですが、武豊騎手も跨っていたんですね」(競馬誌ライター)

 今週末をもっていよいよ見納めとなる中野厩舎から武豊騎手への騎乗依頼は、2Rイーサンハンターと6Rレディマキシマ、7Rマウンテンエースの3頭。イーサンハンターとマウンテンエースは前走で2着に好走しており、十分に白星が期待できるだろう。

 特にマウンテンエースの方はここ2戦で跨り2着に導いていたR.キング騎手が当日の中山にいるにもかかわらず、レジェンドに手綱が回ってきただけに気合も入る。

 また武豊騎手も最終日に中野厩舎の管理馬に騎乗することについては、自身の公式サイトの日記に「なんとか最後を締めたいものです」と大役を任せられたことへの意気込みをつづっている。

 2018年2月にはダイアナヘイローで阪急杯(G3)を逃げ切り、これで引退となる福島信晴元調教師の花道を飾ったレジェンド。今週末は再び千両役者ぶりを見せてくれるか注目だ。

GJ 編集部

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