永島まなみ、スウィープフィート武豊乗り替わり「正直悔しい」も「武さんに教えていただきました」。福永祐一も指摘した若手騎手「負のスパイラル」にハマらない強さ
同情の声もあった主戦降板劇
3日、スウィープフィート(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)に騎乗する武豊騎手が桜花賞(G1)の共同会見に臨んだ。
昨年12月の2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルF(G1)では7着止まりだったものの、今年3月に行われた王道トライアル・チューリップ賞(G2)を制して一躍、桜花賞の有力候補にのし上がったスウィープフィート。
特に武豊騎手が「『どれくらい脚を使えるかな』と思って追いだしたら、思ってた以上の瞬発力」と評したチューリップ賞の上がり3ハロン34.3秒の末脚はメンバー最速。G1を3勝した祖母スイープトウショウ譲りの瞬発力は、百戦錬磨のレジェンドジョッキーをして「あっという間に先頭に立った」と言わしめる破壊力だ。
その一方で、スウィープフィートは武豊騎手が「楽しみな馬に巡り合えた」と話した通り、前走のチューリップ賞がレジェンドとの初コンビ。前々走まで若手の永島まなみ騎手が主戦を務めていたことでも注目されていた。
永島騎手にとってスウィープフィートは、デビュー戦から手綱を取り続け、自身初のG1挑戦の相棒にもなった特別な存在。前々走のエルフィンS(L)は敗れはしたものの3番人気2着と決して悪い結果ではなかっただけに、この主戦降板には同情の声もあった。
「一番率直な気持ちは悔しい」でも…
実は、武豊騎手が共同会見した翌日、永島騎手はJR大阪駅の構内で行われたJRAのイベント『回想ステーション』にゲスト出演。その際、スウィープフィートの乗り替わりについても質問を受けている。
スウィープフィートが武豊騎手との新コンビでチューリップ賞に出走していた頃、永島騎手は小倉で騎乗しており、モニターを通じてレースを観ていたという。クラシックシーズンを前にしての主戦降板には、やはり「一番率直な気持ちは悔しい」と騎手として思うところがあったそうだ。
だが、「武さんの騎乗を見て学ぶことが凄く大きかった」と元相棒を“一発回答”で重賞勝利に導いた武豊騎手の騎乗ぶりを見て、得るものは小さくなかった様子。「レース後にも、武さんにお話をうかがって教えていただきました」と積極的にコンタクトを取っていたようだ。
「こういう気持ちの強さというか前向きな所が、永島騎手が若手の中で活躍できている要因の1つだと思います。
福永祐一元騎手(現調教師)も著書『俯瞰する力』(KADOKAWA)の中で『それは違うだろう』と言っていますが、一見理不尽に見える乗り替わりをされてしまった際、ふてくされてしまう若手騎手は珍しくありません。後でもう一度、乗せてもらえることになっても、プライドが邪魔をして乗らなかったりするケースもありますからね」(競馬記者)
一方の武豊騎手も、共同会見でスウィープフィートの課題の1つである口向きについて質問された際「永島騎手からも色々聞いてて……」と回答。「デビュー当初は難しい面もあったが『だんだん解消されてきました』と言ってた通り、それほど気にしなくても良いかなという感じですね」と元主戦の永島騎手と情報交換したことを明かしている。
今回は残念な乗り替わりとなってしまったが「『もっと頑張らないと』と思わせてもらえる機会」と、すでに前を向いている永島騎手。転んでもただでは起きない気持ちの強さは、今後も大きな武器になるはずだ。