JRA「単勝190.4倍」でNHKマイルC出走権に迫るも松岡正海は謝罪…仏国の名手も「やっちまった」まさかのアクシデント
単勝190.4倍の好走も、松岡騎手はガックリ…
6日、中山競馬場で行われたニュージーランドT(G2)は、3番人気のエコロブルーム(牡3歳、美浦・加藤征弘厩舎)が勝利。2着ボンドガール、3着ユキノロイヤルまでが5月5日のNHKマイルC(G1)の優先出走権を掴んだ。
ハナを切った9番人気のユキノロイヤルが3着に粘り込むなど、典型的な前残りのレースとなった今年のニュージーランドT。勝ったエコロブルーム、2着ボンドガールらも好位からのなだれ込みという流れの中、3番手からあと一歩及ばなかったのがクリーンエア(牡3歳、美浦・上原博之厩舎)だ。
最低人気の伏兵ながら、陣営が「中山のマイルは合うイメージ。力を付けているので重賞でも」と単勝190.4倍とは思えないほどの期待を寄せていたクリーンエア。鞍上の松岡正海騎手が「展開やペースは良かった」と話した通り、好位から前残りの流れは理想的で、ラスト200mで勝ったエコロブルームに並びかけた際は、馬券圏内はほぼ確実にも思えた。
しかし、ゴールが近づくにつれ、クリーンエアが急失速……。3着ユキノロイヤルから0.3秒差の6着は人気を思えば十分な結果だが、土壇場で思わぬアクシデントがあったようだ。
「どうやら、松岡騎手が手綱を落としてしまったそうです。ムチと違って拾い直すことはできますが、その一瞬の動作が時に致命傷になってしまうのが競馬。今回は接戦のゴール前でしたし、経験豊富な松岡騎手らしからぬミス……。特にニュージーランドTは3着までにNHKマイルCの優先出走権が与えられるだけに、収得賞金加算のない3着も大きなレース。それだけに本人も悔しいでしょうね」(競馬記者)
当たり前の話だが、騎手も人間である。時速約60キロで走る馬を巧みにコントロールする中で、思わずムチや手綱を落としてしまうこともあるだろう。
あの武豊も…過去にムチや手綱を落とした例が
最近では、昨年の宝塚記念(G1)でジャスティンパレスに騎乗していた鮫島克駿騎手が、最後の直線でムチを落としてしまう痛恨のミス。その影響もあってか3着に敗れてしまった。あの武豊騎手でさえ、スペシャルウィークで自身初のダービージョッキーとなった際は、ゴール前でムチを落としてしまっている。
「手綱を落としたことで有名なのは、黄菊賞(1勝クラス)でポタジェに騎乗したフランスのC.スミヨン騎手ですね。最後の直線入り口で落としてしまい、慌てて拾い直したのですが、やはり仕掛けが遅れてしまった影響もあってか、最後はハナ差の2着に敗れています。
逆に、それでも勝ち切ったのが、ファルコンS(G3)でルークズネストに騎乗した幸英明騎手。こちらも最後の直線で先頭に立ったところで落としてしまって失速……。なんとかしのぎ切りましたが、相手があのグレナディアガーズだったこともあって、鞍上もヒヤヒヤものだったとか……」(同)
実はこの日、阪神牝馬S(G2)をマスクトディーヴァで勝利したJ.モレイラ騎手も、最後の直線で手綱を落としてしまうアクシデント。こちらはなんとか勝ち切った。
「上手く乗ることができませんでした」
ニュージーランドTのレース後、そう謝罪の意を示した松岡騎手。今回は弘法にも筆の誤り……いや、名手にも手綱の誤りといったところか。残念な結果に終わってしまったが、もともとクリーンエアは新潟2歳S(G3)3着の実績もある実力馬。この春だけでなく、秋に向けても覚えておきたい人馬だろう。