【フローラS(G2)展望】G1馬の姉譲りの切れ味アドマイヤベルが不動の主役か。「2戦2勝」クリスマスパレードはオークス向き
オークス切符を懸けたフローラS
10週間に及ぶ春の府中開催が、いよいよ開幕。21日には東京競馬場でオークス(G1)の前哨戦、フローラS(G2)が行われる。
今年のオークスは、先日の桜花賞(G1)を制したステレンボッシュが絶対的な主役候補として君臨する。桜花賞で2着に敗れた2歳女王のアスコリピチェーノは、NHKマイルC(G1)へ向かうことが発表されたため、オークスでステレンボッシュの1強を止める馬が現れるかどうかが今年のフローラSの見どころとなりそうだ。
オークス向きの馬が複数スタンバイしているが、中でもアドマイヤベル(牝3歳、美浦・加藤征弘厩舎)の素質が一歩リードしているか。
父スワーヴリチャード、半姉にG1馬のアドマイヤリードがいる良血馬で、昨年8月のデビュー戦では菱田裕二騎手を背にハナ差の接戦を制して初陣を飾った。
新潟の外回りで行われた同レースでは、4角14番手から上がり33秒8の切れ味を披露。2着馬とはハナ差だったが、着差以上の強さを感じさせた。
一息入れた2戦目は、秋の東京で牡馬に挑戦。百日草特別(2歳1勝クラス)で、14日の皐月賞(G1)にも出走のアーバンシックから0秒4差の3着と善戦してみせた。
そして3戦目は今年2月のフリージア賞(3歳1勝クラス)。ここも牡馬混合戦だったが、マーシャルポイントとクビ差の2着と力を示した。まだ1勝馬のため、登録頭数によっては抽選になる可能性もあるが、無事にゲートインできれば、牝馬限定戦となる今回は堂々の主役候補として登場することになるだろう。
アドマイヤベル以上にオークス向きとみられるのがクリスマスパレード(牝3歳、美浦・加藤士津八厩舎)だ。
昨年12月の新馬戦、今年2月の水仙賞(3歳1勝クラス)と、どちらも牡馬混合戦を2番人気で快勝。2戦とも「2-2-2-1」と全く同じコーナー通過順で連勝を収めた。
その数字通り、道中は2番手につけて、勝負所で早め先頭に立っての押し切り勝ち。舞台が中山から東京へと替わるが、開幕週で高速馬場が見込まれるため、脚質的には前で競馬ができる本馬が優位か。
デビューから手綱を取る石川裕紀人騎手も前走後「新馬戦の時はフワフワしましたが、今日は跨ってからゲート裏まで、競馬がわかっている感じ」とコメントしていたように、着実に成長を見せている。今回も前走から約2か月の間隔が空いたが、更なる成長を遂げていればあっさり3連勝の可能性は十分だ。
前走フラワーC組の好走に期待
アドマイヤベルとクリスマスパレードの2頭はどちらも1勝クラスで勝ち負けを演じての初重賞となる。これに対して、3月のフラワーC(G3)経由の馬が3頭出走を予定している。
ゴール前で大激戦となったフラワーCで4着に入ったラビットアイ(牝3歳、栗東・鈴木孝志厩舎)。横山典弘騎手を背に序盤は後方で末脚を温存すると、4角最後方から直線で鋭く脚を伸ばした。
3歳の牝馬限定戦としては淀みのないペースで流れ、展開もやや味方した面は否めなかったが、それでも最後は狭いところを割って伸びており、勝負根性の高さを証明した。
そのフラワーCで5着に入ったエルフストラック(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)は、やや外目の枠から初めて逃げの手を打ち、最後まで見せ場をつくっている。
先行力には定評があり、開幕週の馬場も味方につけられそう。2か月間で3度目の関東遠征となるが、引き続き好状態なら上位争いに加わってくるはずだ。
カニキュル(牝3歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)は、フラワーCで3番人気に支持されたが、スタートでやや立ち遅れリズムに乗れないまま6着に沈んだ。
ただ陣営はレース前に、広い東京コース向きの馬という趣旨の発言をしており、前走の敗戦は織り込み済みか。コース替わりで一変する可能性は高そうだ。
この他には、昨秋の新馬戦を快勝し、2戦目の若竹賞(3歳1勝クラス)で牡馬相手に3着に善戦したトロピカルティー(牝3歳、美浦・林徹厩舎)、G1馬ドゥラエレーデの半妹で、未勝利戦に続く連勝を狙うバロネッサ(牝3歳、美浦・田中博康厩舎)、昨夏のクローバー賞(OP)勝ち馬のコスモディナー(牝3歳、美浦・伊藤伸一厩舎)など、ここをステップにオークス行きを狙う伏兵陣も多彩だ。
ここを勝って桜の女王ステレンボッシュに挑戦状をたたきつけるのは、果たしてどの馬か。フローラSは21日、15時45分に発走予定となっている。