【クイーンエリザベス2世C(G1)展望】「G1・6勝」ロマンチックウォリアーVS「5馬身差圧勝」プログノーシス!ヒシイグアス、ノースブリッジも虎視眈々
28日、香港のシャティン競馬場では『香港チャンピオンズデー』が開催される。1200m、1600m、2000mの各距離でG1が行われるが、ここではメインレースのクイーンエリザベス2世C(G1)を展望していこう。
芝2000mで争われる一戦は、日本馬が過去6勝を挙げている得意舞台。今年はG1馬こそいないが、3頭の実力派が初のG1タイトル獲得を狙っている。
日本馬のリーダー格はプログノーシス(牡6歳、栗東・中内田充正厩舎)だろう。
重賞初制覇が5歳春に出走した昨年の金鯱賞(G2)と出世は遅れたが、QE2世Cで2着の後に札幌記念(G2)で重賞2勝目を飾り、天皇賞・秋(G1)でもイクイノックスの3着と堅実な走りを披露してきた。
昨年末の香港C(G1)は5着に敗れたが、今年の始動戦となった金鯱賞で連覇。昨年2着のリベンジに向けて態勢は整っている。
その末脚は現役中距離馬の中でも群を抜いており、これまで国内の全11戦中9戦で上がり最速、残り2戦も同2位をマークしている。前走の金鯱賞では圧巻の走りを披露し、昨年の菊花賞馬ドゥレッツァを相手に直線だけで5馬身ぶっちぎって完勝。鞍上・川田将雅騎手の見事な手綱さばきもあったが、まさに今が充実期といえそうだ。
過去2戦2敗のロマンチックウォリアーという香港最強馬が立ちはだかるが、何とか一矢報いたいところだろう。
プログノーシスと同じ重賞3勝を誇り、G1・2着が2回あるヒシイグアス(牡8歳、美浦・堀宣行厩舎)は、ビッグタイトル獲得を見据えて3度目の香港遠征を敢行する。
中山記念(G2)2勝に加えて、中山金杯(G3)も制している中山巧者のヒシイグアスだが、3度目制覇に挑んだ前走の中山記念は11着に惨敗を喫した。ただし、陣営は道悪を敗因に挙げており、決して力負けだったわけではない。
実際、昨年末の香港Cでは、日本馬最先着の3着に好走。優勝したロマンチックウォリアーからクビ差の惜敗で、プログノーシスに先着を果たすなど、その実力は健在だ。
昨年の香港C3着に加えて、2021年の同レースでも2着と、時計を要する洋芝のシャティン競馬場に高い適性を見せており、今回も大いにチャンスはあるだろう。国内外8度目のG1挑戦で悲願を遂げることができるか。
実績ではプログノーシスとヒシイグアスに及ばないが、立ち回り一つでノースブリッジ(牡6歳、美浦・奥村武厩舎)も上位争いに加わってきそうだ。
これまで22年エプソムC(G3)と23年アメリカジョッキークラブC(G2)を制しているが、昨年4月以降は大阪杯(G1)8着、オールカマー(G2)7着、そして天皇賞・秋10着と凡走が続いていた。
そこで陣営は海外に矛先を向け、カタールのアミールT(G3)で今年の初戦を迎えた。同レースでは、久々の2400mで折り合いにやや苦労する場面もあったが、好位のインで何とか我慢。最後の直線でもしぶとく粘って3着争いに持ち込んだ。
ゴール前で惜しくもサトノグランツに差されて4着に敗れはしたが、初の海外で堂々の戦いぶりを披露。今回は適距離の2000mに戻って上積みも見込めそうだ。さらに週末にかけて現地は傘マークが並んでおり、馬場が悪化するようなら道悪巧者の出番となるかもしれない。
そんな3頭の日本馬の前に大きな壁として立ちはだかるのが香港の雄、ロマンチックウォリアー(セ6歳、香港・C.シャム厩舎)だ。
これまでG1を6勝している香港中距離界のエースは、昨年の上半期こそ4戦1勝と本調子ではなかったが、昨年10月以降はG1を3連勝中。本来の豪脚を取り戻して、上半期の大一番を迎える。当レース3連覇、G1・7勝目を挙げて、取り沙汰されている安田記念(G1)参戦を果たすことになるのか、その走りに注目だ。
この他には、昨年の当レース3着馬で、前走のマグノリアS(L)で約1年ぶりの勝利を挙げたドバイオナー(セ6歳、英・W.ハガス厩舎)、昨年9月から3連勝中で前走の香港ダービー(L)を制して勢いに乗るマッシヴソヴリン(セ4歳、香港・C.イプ厩舎)の2頭も日本馬3頭のライバルとして警戒が必要だろう。
ロマンチックウォリアーがレース史上初の3連覇を果たすのか、それとも日本馬が21年ラヴズオンリーユー以来の勝利を手繰り寄せるのか。注目のクイーンエリザベス2世Cは、日本時間28日の17時40分に発走を迎える。