【ケンタッキーダービー(G1)】フォーエバーヤング「神の手」に阻まれた? 矢作芳人調教師「あそこまで行ったので勝ちたかった」ハナ+ハナの紙一重を分けた左腕

フォーエバーヤングを管理する矢作芳人調教師

あと一歩に迫った米ケンタッキーダービーの頂き

「ただ一言、悔しいです。馬は素晴らしかったです。すごく頑張ってくれました」

 レース後、声を震わせながら失意のコメントを残したのは“世界のYAHAGI”こと矢作芳人調教師だ。

 日本時間5日朝、米ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で行われたケンタッキーダービー(G1)は、地元の伏兵ミスティックダンが優勝。道中は好位のインを立ち回り、最後の直線で早め先頭に立つとそのまま押し切った。

 ハナ差の2着に入ったのは日本国内のオッズで3番人気の支持を集めた米国のシエラレオーネ。日本のフォーエバーヤング(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は2着馬からさらにハナ差の3着に敗れ、デビュー6戦目にして初めての黒星を喫した。

「日本の馬にとって全く慣れない環境のなかで、これだけ走れる彼には本当に頭が下がります」そう愛馬を労った矢作師は「ただ、あそこまで行ったので勝ちたかったです」と続けうなだれた。

 国内で2番人気、現地でも3番人気と高い評価を得たフォーエバーヤングだが、レースでは2つの想定外に襲われた。

 1つ目はスタート。伸び上がるような形でゲートを出てしまい、道中は中団後方からの競馬を強いられた。勝負所で徐々に前の馬との差を詰め、4角では先行集団を射程に入れると、最後の直線で末脚を伸ばしたが、あと一歩及ばなかった。

 2つ目は最後の直線で2着馬のシエラレオーネと激しく馬体をぶつけ合ったことだ。奇しくもゴール前で鍔迫り合いを演じたシエラレオーネとフォーエバーヤングは従兄弟の関係にあたる。最後はミスティックダンとともに3頭が横一線でゴール板を通過したが、激戦を制したのは直線で不利なく内を通ったミスティックダンだったのは、何とも皮肉な結果と言えるかもしれない。

 さらにフォーエバーヤングにとって痛かったのは、ゴール直前の出来事である。レース後、ゴール前のスロー再生がテレビで流され、その様子がSNSにもアップされたのだが、シエラレオーネ鞍上のT.ガファリオン騎手がムチを持った左腕を伸ばしてフォーエバーヤングを押さえつけているように見えたのだ。

 ファンからは「フォーエバーヤングめっちゃ妨害されてたよね。あれがなかったら勝ってたんじゃない?」「首根っこを捕まえられていたように見えた。かわいそうに」など、フォーエバーヤングを擁護する声が多数上がった。ただ、レース後にフォーエバーヤング陣営が走行妨害の申し立てを行わず、坂井瑠星騎手も「僕の手綱を掴んだという事実はない」と大きな不利ではなかったことを認めている。

勝敗を分けたのは「神の手」?

 また、豪州の競馬関係者がその場面を振り返り、「日本では、これが『神の手』の瞬間と呼ばれている」と自身のXにポスト。1986年のサッカーW杯でアルゼンチン代表のマラドーナがイングランド戦で決めた「神の手ゴール」を引き合いに出すなど、日米だけに留まらない論争に発展していた。

「競馬にタラレバは禁物ですが、もし(フォーエバーヤングが)出遅れていなければ、着差が着差だけに勝っていた可能性は十分あったでしょうね。結果は3着でしたが、凱旋門賞以上にハードルが高いと言われたケンタッキーダービーでここまで迫ったことは、日本競馬界に大きな勇気を与えたはずです」(競馬誌ライター)

「この経験は今後に生かさなければなりませんし、間違いなく生きてくると思います。世界一の馬になれるように一緒に歩んでいきたいです」

 矢作師はこの悔しさを晴らすべく、すでに次のステージを見据えているに違いない。今年に入ってサウジアラビア、ドバイ、アメリカと渡り歩き、確固たる足跡を残したフォーエバーヤング。今後は日本だけでなく世界中から注目される存在になるだろう。

GJ 編集部

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